知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2013年8月20日・8月27日放送
「古都をはぐくむ水物語」
古くから、清らかな水に守られている京都。生命の源である水は、都を優しく包み込む、美しい風景をはぐくんできました。また、この町ならではの雅な文化も生み出してきたのです。
2つの流れが鴨川となって京の町に流れる地に建つ下鴨神社。ここには、樹齢600年の木々が生い茂る「糺(ただす)の森」が広がります。この「ただす」という言葉は、一説によると、「清らかな泉が絶えず湧き出る」という意味があり、古代より美しい水が湧いていたといわれています。
山あいを澄んだ水が流れる貴船で有名な夏の風物詩が「川床(かわどこ)」。貴船川の上で京の味を堪能できるこの場所へ、多くの人が涼を求めて足を運びます。そんな地に古くから建つのが「貴船(きふね)神社」。ここには水の神様が祀られ、人々の信仰を集めています。
京の町には、いにしえより人々が水の恵みを受けながら暮らしてきたことを示す場所があります。現在も料理や染物に使われている井戸「柳の水」。その歴史は古く、平安時代にはすでに湧き出ていたといいます。また美しい水は、都ならではの食文化もはぐくんできました。その一つが「湯葉」。もともと鎌倉時代に中国から伝わったとされ、京料理に欠かせない一品です。水の清らかさが、その繊細な味を作り出すといいます。
京の中でも水が豊富な地「伏見」。江戸時代、酒や米を大阪へ運ぶ輸送船だった「十石舟(じゅっこくぶね)」に乗り、情緒あふれる水の町を巡っていきます。そんな水に恵まれた伏見は、江戸時代から、酒造りの中心地として栄え、今も何軒もの酒蔵が建ち並びます。その内の一軒「山本本家」を訪ね、伏見と酒の歴史に触れていきます。
また、明治時代、多くの人が暮らす京の町に水をもたらすため「琵琶湖疏水」という水路が作られました。町のなかを流れ、今も人々の生活を支えています。
悠久の時の中で、様々な恵みをもたらしてきた「京の水」。今回は、そんな澄み切った水にまつわる歴史と、いにしえから続く人々の水への思いをひもといていきます。