知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2013年7月2日・7月16日放送
「夏の嵐山・世界遺産の寺」
四季折々、季節ごとに様々な表情を見せる嵐山は、爽やかな風が心地よい初夏もまた、私達をひき付ける多くの魅力にあふれています。 まずは桂川沿いを上流へと向かって走る「トロッコ列車」に乗車。どこか懐かしくてかわいらしい車両は、窓ガラスがなく開放感たっぷり。線路を囲む緑のトンネルの中、風を受けて走ります。
桂川は上流へ行くと「保津川」とその名を変えます。 ここで名物「保津川下り」を体験。まさにこの季節ならではの「涼」を感じる乗り物。 川の流れに揺られ、たどり着くのは嵐山の象徴「渡月橋」。 この橋の原型は、はるか平安時代に遡るとか。 創業400年を誇る老舗「平野屋」で頂けるのは、季節の懐石料理。今の時期は、ここ京都で獲れた鮎(あゆ)料理を食べられるのだとか。鮎の刺身や鮎のお粥(かゆ)など、この時期だけのさわやかな味わいに癒されます。
嵐山名物、竹林の道を通り抜けると、そこは世界遺産、「天龍寺」。 室町時代に創建され、670年もの歳月を刻んできた歴史ある寺院。 足利尊氏を開基として、その政敵で、無念の死を遂げた後醍醐天皇の菩提を弔うために建てられたという天龍寺。そこには、初代住職、夢窓国師の教えがありました。 また夢窓国師は庭造りの名手としても知られる人物。天龍寺の庭園は彼が自ら手が掛けたろされる美しい庭の面影を残します。 そんな夢窓国師を祀っているのが、桂川のほとりに建つ「臨川寺(りんせんじ)」。 この寺にはなんと夢窓国師の棺(ひつぎ)が収められているのだとか。 そして「篩月(しげつ)」は天龍寺の中にある精進料理の店。実は、私たちがよく知る精進料理には、禅の精神との深い関係があったのです。
創建当時、広大な境内を誇ったという天龍寺は、今も塔頭(たっちゅう)と呼ばれる小さな寺をたくさん持っています。その中でもユニークなのが、意外にも「七福神」が祀られるという7つの寺。 さらに、塔頭の一つである「宝厳院(ほうごんいん)」には、この時期だけにしか見られない、美しい風景がありました。
夏の嵐山の風情を味わいながら、この地を代表する寺院にして世界遺産…「天龍寺」にまつわる物語をひもときます。