知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2013年6月25日・7月9日放送
「歴史を彩る京の花」
悠久の都・京都に咲く花は、長きにわたり親しまれてきました。昔から人々は、花を見て季節を感じ、その美しさに心を動かされてきたのです。 今回は、そんな「京の花」に隠された、知られざる物語をひもときます。
江戸時代、もともと武士だった「石川丈山(いしかわじょうざん)」が、開いたという「詩仙堂(しせんどう)」は、一年を通して、花が絶えない寺として知られています。この寺で、初夏の頃、華やぐのが「皐月(さつき)」。旧暦の5月を、同じく皐月と言い、その時期に咲くことから、名付けられたといいます。
建仁寺の塔頭「両足院(りょうそくいん)」の緑豊かな庭園に咲くのが、「夏」の字がはいった「半夏生(はんげしょう)」。田植えを終わらす目安とされた半夏生の時期に、楽しむことができるため、その名で呼ばれるようになったのだとか。
季節を彩る花は、古くから歌の題材にもなりました。 「大田神社(おおたじんじゃ)」の境内にある「大田ノ沢」は、5月になると 「かきつばた」の花で埋め尽くされます。この神社の花は、平安時代の和歌にも詠まれ、1000年以上も前から京の人々に親しまれてきたのです。
「法金剛院(ほうこんごういん)」は、古くから人々が足を運ぶ花の名所。 7月になると、庭一面に「ハス」の花が咲き誇り、圧巻の光景が広がります。 この花は仏教と深いかかわりを持ち、経典の中にもその名が書かれているといいます。この寺に植えられたのも、極楽浄土をこの世に実現するためと言われているのです。
梅雨の時期に見頃を迎える「紫陽花」で有名なのが、伏見にある「藤森神社(ふじのもりじんじゃ)」。約40種3500株が咲き誇り、「紫陽花の宮」とも呼ばれています。この花は、現存する最古の歌集「万葉集」にも登場するほど、古くから 人々に愛されていたのです。
いつの時代も多くの人を惹きつける花。古都に咲く様々な花を訪ね、その物語に触れていきます。