知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2013年6月4日・6月18日放送
「宇治に薫る茶の心」
私達の暮らしの中に、深く根付いた「お茶」は京都と深いつながりのある文化。 特に、京都市の南東に位置する宇治市は美味しい茶葉の名産地として全国的に知られ、古くから茶と共に歴史を重ねてきた場所。風情あふれる茶店が軒を連ねる宇治の地で、茶の物語をひもときます。
まず訪ねるのは、宇治の茶にまつわる場所。 宇治川のほとりにある「対鳳庵(たいほうあん)」は、全国的にも珍しい市営の茶室。本格的なお点前による抹茶と茶菓子を頂きます。 つづく「堀井七茗園(ほりいしちめいえん)」は室町時代から続く、三代将軍義満ゆかりの由緒ある茶園。 歴史を感じながら茶摘みを体験。まろやかで香り高い「玉露」の秘密とは。 同じく室町時代に始まる茶の老舗「上林春松(かんばやししゅんしょう)本店」で見せていただくのは、茶葉のブレンド「合組(ごうぐみ)」。豊臣秀吉や徳川家康など、時の権力者に重用された「御茶師」の家に代々受け継がれる伝統の業を拝見。そんな上林家に伝わる資料を集めた「上林記念館」では、秀吉直筆の書状など貴重な品々に出会います。
宇治から離れ、そんなお茶の歴史を深く知るために訪れたのは、京の街の北西にある「高山寺(こうさんじ)」。そこには、日本に茶を広めた鎌倉時代の禅僧、栄西と明恵(みょうえ)の物語がありました。
さらに、江戸時代になると、現在広く飲まれている「煎茶」が人々に広まることとなります。 宇治に佇む「萬福寺(まんぷくじ)」を開いた僧侶隠元(いんげん)は、その名を冠した「インゲン豆」をはじめ、様々な中国の食物や文化などを日本に伝えた名僧。彼が、煎茶の文化を日本にもたらしたのです。 そしてもう一人…隠元が伝えた「煎茶」を、世に広めた人物もまた、萬福寺の僧侶でした。
そんな煎茶の味を、現在のような、香り高い味わいに高めた人物として知られるのが永谷宗円。 その製法を今に伝える茶の老舗「永谷宗園」を訪ねます。
私達の身近にある「お茶」。そこに秘められた深い味わいと歴史求め、茶所「宇治」をめぐります。