バックナンバー
2012年5月11日・25日放送 「識る×函館」
幕末から、「北の玄関口」として栄えた港町、函館。
この街は、外国からの文化を柔軟に受け入れ、他にはない独自の景観をつくりあげてきました。
そして、今も街の人々は豊かな「自然の恵」と先人から伝わる「知恵」をしっかりと守り続け暮らしを営んでいます。
幾多の困難を乗り越え、再生された街、函館にエコのヒントが隠されていました。
函館が世界に賞賛されるものがあります。
それは……日没と共に始まる夜景。
ナポリ、香港と並ぶ「世界三大夜景」の一つでミシュラン3つ星まで獲得した眺望。
街の東西を挟む「漆黒の海」とほどよい明るさの光との、絶妙なコントラスト。
この夜景の美しさは、決して偶然の産物ではなく、函館の人々の智恵によって生み出されたものでした。
何度も街を焼きつくした大火。
海に面した函館は海風によって、火が瞬く間に広がってしまうのです。
「火事に強い街」。
それが、函館を再生する絶対条件でした。
まっすぐで広く、眺望を楽しめる函館の坂道。
実は、道幅のある道路なら火が広がりにくいという事情から造られました。
全国で見られる道の中央に木を植えた「グリーンベルト」も、火の類焼を避けるため、函館で初めて導入されたものです。
さらに、火災に強い鉄筋コンクリートの電柱が初めて立てられたのも函館。
大火からの復興を象徴する建物があります。
旧函館区公会堂です。
外観は、国際都市・函館にふさわしい洋館。
これを手がけたのは、函館の職人。
彼らは、火事に強い西洋建築を外国人から学び設計から施工まで、全てを手がけました。
負の遺産を忘れない精神。
そんな思いが火に強い函館の街をつくったのです。
東・南・西を海に囲まれた函館は、海の幸の宝庫。
これほど多彩な海の幸に恵まれるのは、函館の海に秘められた「ある智恵」のおかげ。
昆布の国内生産量が約95%を占める北海道。
特に函館は、親潮の影響で海水温度が低いため、たくさんの昆布が、強く、太く育つ。そんな昆布の茂みは、魚たちの隠れ家や産卵場所になり、いわば函館の海の生態系は昆布をベースに保たれています。
そんな海の宝、昆布の魅力にいち早く気付いたのは、日本人でした。
海外では「海のゴミ」と言われた昆布の旨味に気付き、出汁を取ったり、保存食にしたのは日本特有の文化。
函館は路面電車が走る街。
全国で相次いで消えた路面電車ですが、排気ガスを出さない乗り物として今、注目されています。
明治40年、函館の路面電車は大火に見舞われ、すべての車両を焼失。
大火後の明治43年に製造されたレトロな「函館ハイカラ号」がいまも、走り続け・・・
函館の中心部から湯の川まで、およそ10キロつないでいます。
今年で102歳になるハイカラ号。
古いものを大切にする函館のシンボルとして活躍中。
多くの困難を乗り越え、再生された街、函館。
経験から培われた人々の知恵と、和と洋の見事な調和。
夜景の美しさに秘められた、エコの心がそこにはありました。
箱館山ロープウェー
住所:北海道函館市元町19-7 |
|
旧函館区公会堂
住所:北海道函館市元町11-13 |
|
函館ハリストス正教会
住所:北海道函館市元町3-13 |
|
真宗大谷派函館別院
住所:北海道函館市元町16-15 |
|
TACHIKAWA CAFE
住所:北海道函館市弁天町15-15 |
|
小森商店(小森家住居)
住所:北海道函館市弁天町23-14 |
|
納谷昆布店
住所:北海道函館市新川町28-1 |
|
函館駅二商業協同組合
住所:北海道函館市若松町9-19 |
|
うにむらかみ
住所:北海道函館市大手町22-1 |
|
割烹旅館若松
住所:北海道函館市湯川町1丁目2-27 |
|
函館聖ヨハネ教会
住所:北海道函館市元町3-23 |
|
金森赤レンガ倉庫
住所:北海道函館市末広町14-12 |