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2011年5月20日・6月3日放送 「点てる×お茶」
飲めば 身体が目覚め・・・ 心がやわらぐ・・・日本人に欠かせない嗜好品、「お茶」。
それは、長い歴史をもっています。
『点てる』という言葉があります。
中国では、普通のお茶・煎茶が生まれる前から、抹茶を飲む習慣がありました。
そして、抹茶を茶筅で攪拌して泡立てる事を『立茶(たてちゃ)』と書いていたのです。
それが日本に伝わって、お茶は『立てる』ものになりました。
「点てて、もてなす」。
日本人は1杯のお茶を点てる事で、相手にもてなしの気持ちを伝えようとして来ました。
お茶の味で もてなすだけではありません。
客の前でお茶を点てるのも、もてなしの一部。
しかも日本人は、お茶を点てるときできるだけ手間暇をかけます。
ただその人のため、自分の手を動かすだけでお茶は美味しくなり、相手を大切に思う気持ちが、より伝わるのです。
日本ならではの「お茶文化」に魅せられた1人の外国人女性がいます。
ウクライナ出身の歌手、ナターシャ・グジーさんです。
1980年、ウクライナの小さな村で生まれたナターシャさん。
家族は紅茶が大好きで、幼い彼女も、ジャムを入れてよく飲んでいたそうです。
増岡伸一さんは400年続くお茶農家の15代目で、お茶作り一筋40年です。
お茶作りには、手間と時間が欠かせません。
摘んだ茶葉を、風通しの良い日陰に放置します。
すると、しおれた茶葉から酵素の働きで、独特の良い香りが出て来るのです。
これを萎凋(いちょう)と言います。
その後、発酵して色や風味が変わるのを防ぐため、茶葉を蒸します。蒸した葉を乾燥させるのが手揉みという作業。
茶葉の99.9%は機械乾燥ですが残る0.1%は、今もこうして仕上げています。
揉み方を変えながら、5時間もかけて、丁寧に水分を揉み出します。2キロの茶葉から取れるのは、僅か450グラム。
でも、手揉みだからこそ茶葉が切れず、針のような長さに。
これが、最高品質の証しです。
和多田さんの店は、今年で7年目。
「お茶の魅力」に出会える店として、評判を呼んでいます。
まず、メニューが驚き!30種類以上のお茶が、地域ごと、茶の種類ごとに分けられています。
美味しいお茶はブレンドせず、ストレートで味わって欲しいという事のようです。
まずは1煎目。"和多田流すすり茶"という飲み方で頂きます。
お湯に空気を含ませて、舌触りを滑らかにするというれっきとした理由があります。単なるパフォーマンスじゃないんです。
東京・丸の内にある、人気の洋菓子店。
パリで大成功を収めた日本人パティシェが、日本で最初に出したお店です。21歳で単身フランスへ。
修業を積んで、パリにアトリエを持ち、今から15年ほど前に抹茶スイーツ作りに乗り出しました。
色も香りもよく、かつヘルシーな「お茶」という素材に、現地のパティシェたちも、興味津津だといいます。
スイーツ界に衝撃を与えた緑のエクレア。
それは、海外に「和の心」が広まる新たな一歩となったのです。
日本茶に惚れ込むのは、日本人だけではありません。
「日本の心」ともいえるお茶文化を、世界に広めようとしている外国人がいます。
フランス・リヨン出身のステファン・ダントンさんです。
来日したのは1992年。最初はフランスから上陸した紅茶専門店に勤務していましたがそこで日本茶と出会いました。
ダントンさんのおすすめは、ワイングラスで提供する「水出し茶」。この金色、確かにワインのようです。
静岡県の山間にある川根町。この町の契約農家から、ダントンさんはお茶を仕入れています。
店をオープンする前、日本全国の茶畑を視察しその中から川根のお茶を選んだのです。
葉肉が薄くて柔らかく、甘みのある川根茶。
杉谷さんは、それを無農薬で栽培しています。
苦労はありますが、上質なお茶ができます。
美味しくお茶を点てるコツ。
ダントンさんが教えてくれるのは、ほうじ茶で淹れるミルクティーです。
まず、1人分の牛乳を鍋に入れます。
スティックシュガーを1本、ほうじ茶をスプーン1杯分そこに入れて、鍋を火にかけます。沸騰したら火を止めて軽く混ぜます。
そして、茶漉しで漉したら、最後に隠し味。
黒コショウを振って完成です!
コショウのスパイシーな感じが、ミルクティーと絶妙にマッチ。
ソムリエの味覚を信じて、お試し下さい。
東京のほぼ西の端に位置する檜原村。深い緑に囲まれた、美しい村です。
六林会という茶道の同好会が、ここで野点(のだて)を開いていました。野点とは屋外で行われる茶会。
きちんと作法が決まっていない分趣きのあるものにするのは難しいと言われます。
こちらが亭主の芦田さん。六林会の中心メンバーの一人です。
今回は、遠くから上京してきた1人の女性を主客としてもてなすための野点でした。
そのために、まず山の斜面の休耕地を許可を得て平らにして、その一角に自分たちで炉を掘り、要らなくなった竹を使って垣根を作り、倒木の皮をはいで土留めに利用。
更に藤のツルを持って来て、床柱に見たてました。
大地の力ですこやかに育った、緑の葉。
それを使った「お茶」の文化は・・・自然を敬い、周りの人を心からもてなす日本人の「美しい心」をつくってきました。
この営みを、いつまでも続けていくために・・・
まずは私たちが、一杯の時間を楽しむことが大切だと思いました。
六林会 |
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おちゃらか
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狭山茶(伸)増岡園
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表参道茶茶の間
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パティスリー・サダハル・アオキ・パリ >
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ナターシャ・グジー
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