知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2014年6月10日放送
銀閣寺と哲学の道を歩く
京都の東、五山の送り火で知られる「大文字」のある山の麓で静かに門を構える禅寺「銀閣寺」。その境内で出会えるのは、質素でありながら凛(りん)とした美しさを宿した建物。中でも銀閣と呼ばれ、この寺を象徴する「観音堂」は、周囲の風景との見事な調和で、訪れた人々を強くひきつけます。本堂にあたる「方丈」で本尊として大切にまつられているのは、古くから人々の願いを受け止めてきた仏「宝冠釈迦如来坐像(ほうかんしゃかにょらいざぞう)」。
銀閣寺を建てたのは、室町幕府八代将軍、足利義政。創建当時から残るという「東求堂(とうぐどう)」は、義政が実際に使っていたという貴重な建物。様々な日本文化の発展にもかかわったこの場所は、広く愛される茶の文化の始まりとも、深いつながりがあるのだとか。寺の美しい庭園には、茶に造詣の深かった義政ゆかりの場所も、時を超え残されているのです。
そんな銀閣寺へと続くのが「哲学の道」と呼ばれる通り。
豊かな水の恵みを感じられるこの道でよく知られるのは、美しい桜並木。春になると満開の花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれます。
道沿いの桜と深いゆかりがあるのが、「白沙村荘(はくさそんそう)」。かつてここを住まいとしたのは、哲学の道を愛し、多くの桜を植えたという人物だといいます。
そして哲学の道には、四季折々の魅力を堪能できる、趣深い寺があります。
美しい庭園で知られる「法然院」。その門を入ると続く白い盛り砂には深い意味が秘められていました。さらに、「弥勒院(みろくいん)」で出会ったのは、幸せを願う人々の想い。「椿(つばき)の寺」とも言われる「霊鑑寺」では、江戸時代の宮中での暮らしを伝えるみやびな品々を見せて頂きます。
また、散策の合間に立ち寄るのは、老舗「叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)」。季節の食材を盛り込んだ彩り豊かな名物料理を頂きます。
今なお愛され続ける銀閣寺、そして豊かな風情あふれる哲学の道を歩きます。