知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2012年10月2日・10月16日放送
「金閣寺と京の黄金伝説」
京都には、「黄金の輝き」をそなえた建物や仏像、美術品などが数多く残されています。なぜ人は、これほど強く黄金を求め、魅了されるのでしょうか? 今回は「京の黄金」の数々を巡りながら、その輝きに隠れた「深い意味」をひも解いていきます。
京都で世界的に有名な黄金の建物といえば、「金閣寺(きんかくじ)」。室町時代の将軍「足利義満(あしかがよしみつ)」が、政治の仕事を行うために建てたものです。緑に囲まれた池のほとりで輝きをはなつ金閣は、池の反射を巧みに計算し、より美しく輝いて見える工夫がされていると言われます。また、3層にわかれた内部にはそれぞれ意味があり、黄金の使われ方も違います。そんな美しい姿を楽しみながら、金閣に潜む謎に迫っていきます。
そして、同じく黄金の輝きを放ち続ける「西本願寺(にしほんがんじ)」。その本堂である「阿弥陀堂(あみだどう)」や、この寺をひらいた「親鸞(しんらん)」を祀った「御影堂(ごえいどう)」の黄金は、見る者を圧倒します。実は、この寺が金で彩られた理由は、親鸞の教えにもある「極楽浄土(ごくらくじょうど)」の世界を再現したため、とも言われています。果たして、古の宗教観と美しい黄金との、深いつながりとは?
さらに、歴史上の人物のなかで最も黄金に執着した1人が、黄金太閤(おうごんたいこう)とまで言われた「豊臣秀吉(とよとみひでよし)」。足立桃山時代、秀吉が盛大な花見を開いたことで知られる「醍醐寺(だいごじ)」では、黄金に輝く「唐門(からもん)」や、茶会で使われた「黄金の茶道具」を見る事ができます。しかし秀吉は、無邪気に黄金の美しさを愛したのではなく、その輝きを「権力」に利用したというのです。
江戸時代に入ると、金の加工技術が高まり、より幅広い黄金の美術品が登場します。幕府の幕開けの場となった「二条城(にじょうじょう)」に飾られた狩野派の作品「金碧障壁画(きんぺきしょうへきが)」は、それを象徴するものの一つ。さらに二条城では、当時の美しさを今に伝えるための「黄金の復元作業」も行われていました。それぞれの時代の人々が抱いた、「黄金への強烈な思い」。その知られざる物語を紐解いていきます。