知られざる物語 京都1200年の旅
放送内容
2012年6月5日・12日放送
「上賀茂・下鴨神社と葵祭 ~賀茂氏とフタバアオイの謎~」
京都を流れる「かもがわ」……上流を賀茂川、途中から鴨川。そのほとりにたつ「上賀茂神社」と「下鴨神社」は、世界文化遺産にも登録されている、京都で最も古いとされる神社です。その両社をつくり、代々守ってきたのは「賀茂氏」という古代の有力氏族。そんな「かも」の名を持つ神社と氏族には、知られざる物語が残されているのです。
そもそも「上賀茂神社」と「下鴨神社」が祀る神は、家族的関係で結ばれています。上賀茂神社には「賀茂別雷命」。また下鴨神社には、その祖父「賀茂建角身命」と、母の「賀茂玉依姫命」を祀っています。総称して「賀茂の大神」とも呼ばれるこれらの神々は、社殿が出来る前から、人々の厚い信仰が寄せられていました。
さらに、「かも」の名を持つ神社は、この2社だけではありません。賀茂の大神の恩恵に預かろうと、全国に1000社以上の「かも神社」が存在します。
その中の一つが、愛知県三河地方の「賀茂神社」。この地を拠点にしていた一族、徳川家の先祖・松平家も、賀茂の大神を崇めていました。そして松平家は、のちに上賀茂・下鴨神社の神紋である「フタバアオイ」をもとに、有名な徳川家の家紋「三つ葉葵」を作ったと言われています。
毎年5月15日に催される京都三大祭りの一つ「葵祭」は、天皇が、使いである勅使に、神へ捧げる「祭文」と「供え物」を託して奉られる祭。「フタバアオイ」をつけた約500名の大行列が、京都御所を出発、下鴨神社を経由し、上賀茂神社へと向かいます。その歴史は古く、6世紀に遡り、賀茂氏が豊作を祈願する祭だったと伝えられています。それが平安時代から、天皇の命で行われる祭となり、優雅な行列が始まったのです。古の儀式の形が、現代にまで受け継がれています。
今回は、そんな「上賀茂神社」と「下鴨神社」、そして「賀茂氏」の悠久の物語を、今年2012年5月に催された葵祭の映像と共にひもといていきます。