にほん風景物語

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漂泊の詩人 石川啄木 ~若き天才が愛した函館~

「東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる」 貧困と孤独にあえぎながら、重くのしかかる現実を三行書きの短歌でうたい、歌壇に新風を吹き込んだ石川啄木(1886-1912)の歌は、永遠の青春の賛歌です。 北海道の南部に位置する港町・函館。当時、東京以北最大の都市であり、21歳の若者が新天地をもとめ最初にたどり着いた場所でした。昔ながらの洋館が建ち並び、異国情緒あふれる函館はいまや年間450万人もの観光客が訪れる人気の観光地となっています。啄木が函館に滞在したのはわずか132日間。しかし後日友人に送った手紙には「おれは死ぬ時は函館へ行って死ぬ・・・」そこまで魅了した函館の魅力とは? ハイカラな町並みに、豊かな海の幸…かつて函館に何度も足を運び、啄木にも精通している作家・高橋源一郎さんが、その足跡を訪ねながら、真冬の函館の魅力を紹介します。