建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧實日館

旧賓日館は、伊勢神宮の崇敬団体「神苑会」によって、景勝地・二見浦に建築された。明治天皇の母・英照皇太后のご宿泊に間に合うよう、明治19年12月に着工、翌年2月に短期間で竣工した。その後、明治末期から大正初期にかけてと昭和初期の2回、大増改築を重ね現在の姿になった。大正天皇が幼少期に滞在するなど、多くの皇族や各界の要人が宿泊した。本館「御殿の間」は、凝った意匠をもつ皇族専用の座敷で創建時の姿を残している。能舞台も備える大広間は120畳敷で折上格天井を張り、良材を用いて華やかな意匠で設えられている。明治期から昭和前期にかけての建築技術や意匠の進展をよく示している大規模な近代和風建築として高い価値がある。