建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧高取家住宅

唐津城本丸の西南の海岸沿いに約2300坪の敷地をもつ建物。佐賀藩の支藩・多久(たく)藩に生まれ、慶応義塾に学び、石炭産業を志し工部省鉱山寮に入寮、鉱山学を学び、後に「肥前の炭坑王」と呼ばれ、唐津の発展にも貢献した高取伊好(たかとりこれよし 1850-1927)の邸宅である。邸内は中庭を中心に、日常を送った居室棟と接客に使われた大広間棟とに大別される。大広間棟の1階座敷は15畳の畳をあげると板床となり、座敷に組み込まれた能舞台が出現する。老松の鏡板の裏手には後座と呼ばれる空間があり、正式な能舞台を設える際には、敷居ごと鏡板を外し後ろにずらし、この空間まで舞台として使用することができる。伊好自らも舞ったと言われている。舞台の前には客席となる15畳一間が連なり、その間には動植物の吉祥文をモチーフにした欄間がある。1階には茶室も有している。2階大広間は15畳2間の構成。窓越しに唐津湾が一望できる。大広間棟を中心に、29種70枚の板戸も見どころである。