建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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神戸女学院
神戸女学院は、明治初期にアメリカ人婦人宣教師により開かれた私塾に始まる。昭和8年(1933)に現在地に移転し校舎を新築した。設計は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。ヴォーリズが岡田山キャンパスで目指したのは「美しい心を育むための品格ある建築」。設計した12棟全てが指定の対象となった。各建物は、スクラッチタイルやS字瓦などで外観をスパニッシュ風に統一しながらも、機能的に求められた空間の独創的な構成や微妙な変化に富む細部の造形で個性をもたせる等、美的均整の追求と実用への配慮が為されており、意匠的に優れている。神戸女学院は、女子高等教育の理念の具現化を目指して、台地の地勢や豊かな自然との調和を踏まえた合理的なキャンパス計画に基づき、完成度の高い統一感のある建物群で構成されており、昭和初期の学校建築として価値が高い。