建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧小西家住宅
小西家は明治初期から小西屋の屋号で薬種業を営んできた商家。この建物は、二代目儀助が明治33年(1900)に堺筋を含む3つの通りに面した特等地320坪余りを取得し3年かけて良材を集め細部の意匠までこだわり抜いて建てたもの。建てた当時は、従業員35名、下女7、8名、家族12名という大阪でも屈指の大所帯で、台所には50名以上の食事を賄うため、「へっつい」と呼ばれる大きなカマドが置かれていた。また、商品を効率良く運ぶためのトロッコのレールが家の中に敷かれていた。道修町通りに面して建つ主屋は、店舗の表屋と奥の居室部からなる町屋造り。主人と家族は奥の居室、従業員たちは店の二階で寝起きした。主屋裏には奥庭を挟んで、三階建・土蔵造の衣装蔵及び土蔵造の二階蔵がある。薬品関連の商家が連なる大阪道修町でも、ひときわ大規模な建屋であり、良材を用いた上質な造りで、明治末期の大店の屋敷構造をよく留めている。