建物遺産~重要文化財を訪ねて~
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旧第五高等中学校 [現・熊本大学五高記念館]
明治19年(1886)全国に5つの高等中学校の設置が決定し、同年九州の最高学府として熊本に81名の学生を迎えて開講した。建物はその3年後の竣工。柔道創設者の嘉納治五郎は第3代目の校長。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)や夏目漱石を英語教師として迎えた。煉瓦造、2階建。設計は当時文部技師であった山口半六と久留正道。本館と化学実験場と表門が指定されている。本館と化学実験場は、赤煉瓦に安山岩の帯を配した清楚な意匠でまとめられ、表門は門柱に安山岩の帯を五段入れ、建物との意匠を揃えている。門扉を取り付ける金具が残っているが、門扉を取り付けたことはない。旧高等中学校で現存するものは、ほかに金沢市にある第四高等中学校があるが本館のみであり、第五高等中学校は他施設も揃って現存しており、当時の学校施設の規模を知る遺構として重要である。