建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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道後温泉本館

3000年の歴史を持つという日本最古の温泉といわれ、足を痛めた白鷺が傷を癒したことが起源とされている。現在は松山市が運営管理する、公営の公衆浴場。建物は、明治27年(1894)竣工の神の湯本館、明治32年(1899)竣工の皇族入用棟である又新殿(ゆうしんでん)・霊(たま)の湯棟、大正13年(1924)竣工の南棟、玄関棟が複雑に絡み合い、多様な表情を見せている。中心となる神の湯本館は、木造3階建で入母屋造りの大屋根に白鷺が乗った櫓を設けている。明治期に老朽化した温泉の改築に着手したのが、道後湯之町町長・伊佐庭如矢(いさにわゆきや)。大阪航路が就航した松山港から客を呼ぶために明治26年(1893)に道後鉄道を設立し電車路線を明治28(1895)に開通させ、観光開発も同時に行った。設計は、城大工の家系を継ぐ10代目大工棟梁・坂本又八郎。明治28年に松山中学に赴任した夏目金之助(漱石)、正岡子規も訪れ、昭和25年(1950)には天皇も入浴された。