戦いが聴こえた ~ラジオが伝えた太平洋戦争~

戦いが聴こえた ~ラジオが伝えた太平洋戦争~

放送内容

和平交渉にも使われたラジオ


ラジオは国民の戦意高揚のためだけに使われたわけではない。海外向け短波放送は“姿なき爆弾”でもあった。「東京ローズ」に代表される、ラジオトウキョウの謀略放送。その音源には、謀略合戦の一挙手一投足が克明に記録されていた。
その一方で、短波放送を使って戦争を終わらせようとした男がいた。アメリカ海軍のエリス・ザカライアス大佐。大佐は短波放送を通し、13回にもわたり日本へ降伏を呼びかけた。
この呼びかけにただ1人答えた日本人が、同盟通信の社員だった井上勇さんだ。海外からの情報が集約される同盟通信にいたことで、井上さんは誰よりも早く戦況の悪化を知っていた。
戦後発表した手記には、戦争終結への第1歩となる水面下での和平交渉プロセスが克明に記されていた。
政府も軍部も知らない中で、秘密裏に始まったザカライアス大佐との交渉。
政府や軍部の統制下で、なぜ止められることなく放送できたのか? 政府は意図的に井上の放送を見逃し、アメリカの出方をうかがっていたのだろうか?
そして収録音源には、どのようなやり取りが記録されているのか?
当時、唯一の外交交渉の場となったラジオ。その貴重な音源を入手し、逮捕も覚悟で和平交渉の礎を築いた井上の決意の背景を追跡取材する。

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