熱中世代 大人のランキング

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2015年11月15日

熱中ゲスト

作家・作詩家 なかにし礼<後編>

活動50周年を迎えたなかにし礼さん。世に送り出してきた数々の歌や小説は人々の記憶に深く刻まれている。2012年に食道がんを克服するも、今年2月、リンパ節にがんの再発を発見する。夫婦二人三脚での闘病生活は、生きることの意味を見つめた日々でもあった。その中で新たに書き始めたのは、封印していた自身の戦争体験を綴った小説だった―。がん再発を乗り越えたなかにしさんが、今、胸に秘めた想いを語る。2週にわたるトークの後編。

自らの〝原点〟戦争の記憶と向き合う理由

闘病中から書き始め、「生きる力になった」となかにしさんが語るのが、週刊誌で連載中の小説「夜の歌」。そこには「自身の原点になった」という戦争の記憶が綴られている。これまで「戦争体験を心の開かずの扉に密封していた」というなかにしさんが、閉ざした扉を開けて、改めて自らの記憶と向き合う理由とは――。

旧満州からの命がけの引揚げ

旧満州の牡丹江市で生まれたなかにしさんの生活が大きく変わったのは1945年8月のこと。ソ連軍の侵攻により、命がけの引揚げを経験することになる。少年時代に見た「今でも忘れることのできない」壮絶な光景をなかにしさんが語る。
その死と隣り合わせの引揚げ中で「唯一の良い思い出」があったという。葫蘆島で見た真っ青な空と海に引き揚げ船が浮かぶ風景。この風景を見た時の気持ちを、なかにしさんは自身が作詩した歌に託した。昭和の大ヒット曲に込めた思いを明かす。

〝日本の今〟を考える・・・なかにし礼 お薦めの一冊

「今、多くの人に読んで欲しい」。なかにしさんがそう語るのが芥川賞作家・堀田善衛のエッセイ「方丈記私記」だ。戦乱や災害で荒れすさんだ京都で人々がいかに生きるべきかを綴った鴨長明の「方丈記」を、東京大空襲の焼け野原で思い浮かべた堀田が伝統主義的な日本文化を鋭く批判する一冊だ。なかにしさんが「方丈記私記」を紐解き、〝今を生きる私たちに必要なこと〟を語った。  また、なかにしさんが今〝熱中〟しているのがピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイム。なかにしさんが強く惹かれる理由は、バレンボイムの音楽性だけではないのだという。なかにしさんが〝ハマる〟バレンボイムの魅力とは――。

なかにし礼

1938年9月、中国黒竜江省(旧満州)牡丹江市生まれ。立教大学文学部仏文科卒業。
在学中よりシャンソンの訳詞(※訳詩)を手がけ、その後、作詞家(※作詩家)として活躍。日本レコード大賞をはじめ多くの音楽賞を受賞する。2000年『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞。その他の著書に『兄弟』『赤い月』『生きる力 心でがんに克(か)つ』『天皇と日本国憲法 反戦と抵抗のための文化論』。などがある。近著に『生きるということ』2012年3月食道がんを公表し治療のため活動を休止。2012年10月活動復帰。
2015年2月がんが再発、4時間にも及ぶ手術と抗がん剤治療を行い、9月再びがんを克服。サンデー毎日で自らの戦争体験をモチーフにした小説『夜の顔』を連載中。