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2011年9月9日・23日放送 「繋ぐ×屋根」
それは遠い昔の記憶でしょうか・・・
なぜか なつかしさを覚える 日本の風景
その景色をつくりだすもの・・・「屋根」
いつの時代も日本人の暮らしを守り続けてくれる屋根。
改めて見上げてみた日本の屋根には、いにしえから続くエコの心が息づいていたのです。
丹波山地に囲まれた京都・南丹(なんたん)市 美山町。
里山の集落にひっそりとたたずむのは、江戸時代に建てられた茅葺屋根の家々。
何で出来ているか、ご存知ですか?
屋根に使われているのは、すすき、よし、稲わらなどどれも、暮らしのすぐそばにある植物。
茅葺屋根のカヤとは、屋根を葺くために使うこうした草のことを言うんです。
畑に生えたカヤが屋根に葺かれ、使い終われば土へと還り、まったくゴミも出ません。
茅葺屋根は、まさに時代が求めるエコな建築なのです。
茅葺屋根に、日本人は美しさをも求めました。
茨城県石岡市、やさと地区。
江戸時代末期に建てられた茅葺屋根が残っています。
屋根は、言ってみれば家の顔。
まるでメイクをするようにこの地域の屋根には飾りがつけられています。
職人たちが最も力を注いだのは、屋根の葺き始め部分の「軒付け」(のきづけ)と葺き納めの仕上げにあたる「棟仕舞」(むねじまい)でした。
茅葺屋根は、自然を敬い共に暮らしてきた日本人が作った、ひとつの美の形。
それは、風景に溶け込み自然の一部となる屋根でした。
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しっとりとした調和と奥深い情緒を生み出す瓦屋根。
これも、日本の原風景のひとつ。
岡山県高梁(たかはし)市、吹屋地区。
100年以上前から続く、瓦屋根の風景が、今も息づいています。
この町の美しい景観の主役は、「赤い色」
吹屋地区は、江戸時代から大正時代にかけて銅山とベンガラの産地として栄えました。
品質と色合いが優秀な吹屋のベンガラは高級顔料として、持てはやされたといいます。
町に巨万の富をもたらした「赤い色」・・・
当時、勢いをつけた豪商は、競うように、赤い瓦屋根の屋敷を建てたといいます。
耐用年数が長く、火にも強い瓦は住居が密集する町を中心に広まりました。その繁栄とともに、板葺きだった屋根は瓦葺きに姿を変えていったのです。
兵庫県、淡路島。
ここも屋根にかけては日本有数の地。
淡路の瓦は日本三大瓦のひとつ。
味わい深い質感を放つ、いぶし瓦の日本一の生産地なのです。
今ではほとんどが機械で作る瓦ですが、ここでは昔ながらの手作り。
美しい瓦作りの技が受け継がれています。
瓦を愛する淡路の人々。
町の至る所で瓦を使った建物を目にします・・・
自然と共存する屋根に暮らしてきた日本人。
その心をデザインした究極の屋根があります。
茅葺き屋根に植物を植えた「芝棟」です。
茅を下から葺き上げていくと どうしても弱くなるのが棟の部分。
そこに土をおき植物の根をはらせる事で屋根を補強するのです。
東北の一部に今も残る芝棟。
屋根の上には、オニユリやアヤメが咲き、なかにはなんと、松の木が生えていたのもありました。
これも、自然に生きる日本人の知恵。
兵庫県、神戸市。
ここに、自然と繋がる知恵を未来へとつなげていく屋根があります。
街の高台に建つ、一軒のお宅・・・
2階のベランダから続く、木のはしごの先にあるのは緑に覆われた屋根、草屋根です。
都会にいても自然と近い暮らしができるようにと、草屋根にしたんだそう。
防水シートや土留めを施し10センチの土を盛った草屋根は自然と繋がる屋根。
神戸の海を見渡す草屋根この屋根がくれたものは家族で楽しむ自然とのつながり。
日本人の暮らしをそっと見守ってきた、さまざまな、屋根。
大切なのは自然をとりこみ、環境と調和すること。
自然と寄り添う暮らしにこそ美しい未来がある・・・
屋根がそう語りかけてくるようです。
ちいさな藍美術館
住所:〒601-0712 京都府南丹市美山町北上牧41 |
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有限会社 かやぶきの里
住所:京都府南丹市美山町北 |
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一級建築士事務所 YURI DESIGN
住所:〒658-0047 神戸市東灘区御影3-8-4 |
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株式会社山田脩二 淡路かわら房
住所:〒656-0341 兵庫県南あわじ市津井1787-1 |
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川崎市立 日本民家園
住所:〒214-0032 川崎市多摩区枡形7-1-1 |
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岡山県備中吹屋ふるさと村
電話:0866-29-2222 |