ボクらの地球
放送内容
日本唯一の氷河から奇跡の深海へ 幻想の富山湾を旅する
"キトキト"の新鮮な魚で知られる富山湾は、3000メートル級の峰がつらなる立山連峰と能登半島に囲まれた、日本海側最大級の外洋性内海。日本海の魚種の8割を産する豊穣(ほうじょう)の海というだけでなく、突然姿を現し、次々と姿を変えていく幻想的な蜃気楼(しんきろう)や、岸辺近くで産卵し、青白い光を発しながら死んでいくホタルイカが知られる"不思議な海"だ。
実は、富山湾の不思議はそれだけではない。1万年前に海底へと沈んだ海底林や、深海に住む奇妙な生物の集団、世界的にも珍しい現象が存在している。「なぜ、富山湾にはこんなにも多くのいのちの不思議や魅惑的な現象が存在するのか―」。今回、俳優・青山草太が、立山や富山湾各地を訪ね歩きながら、一見ばらばらの不思議現象をつなぐ富山湾の秘密と、謎解きのロマンに取り組む人たちの思いに迫っていく。
謎を解くカギのひとつは、50キロメートルの間に3000メートル級の立山連峰と1000メートルの深海がコンパクトに存在、4000メートルの高度差を作っている世界的にも特異な地形。富山大学の張勁(ちょう・けい)教授は、この小さな富山湾が、地球規模の大地と海の関係を示す壮大なミニチュアモデルだと考えている。
そして、もうひとつのカギは氷河の存在。科学者たちの研究から、世界有数の豪雪地帯を取り巻く環境と、富山湾の深い関係が見えてきた。立山連峰から流れ出す大量の水は、川や海底の湧き水となって富山湾に注ぎ込み、海の豊かさやいのちの不思議を支えていた。
ばらばらに見える富山湾のさまざまな不思議は、壮大な水の循環でつながっている。山と海と空をつなぐ、水の地球の物語をお届けする。