ボクらの地球

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放送内容

世界遺産・知床冬物語 ~豊穣の海にもたらされた異変~

北海道東部にある知床半島は、アイヌ語のシレトク(地の尽きるところ、岬などの意味)が由来。その名の通り、厳しい自然と人を寄せ付けない地形が、豊かな生態系を守って来た。
半島中をエゾシカの群れが歩き回り、海にはクジラやシャチ、トド、アザラシなどが泳ぎ回る。秋にはサケマスが川を遡上し、これをヒグマが狙う。冬になると、北方ロシアから世界最大級のワシであるオオワシが飛来し、その勇姿に感動さえ覚る。
これらの命を支えているのが、冬になると知床の海を真っ白に埋め尽くす流氷だ。大陸からもたらされる栄養分が、流氷とともに運ばれてプランクトンが大発生し、知床を取り巻くオホーツク海と根室海峡は、まさに豊穣の海となっていた。

2005年にユネスコ世界自然遺産に登録された「知床」
その知床に魅せられ30年以上も通い続けた自然写真家・寺沢孝毅氏が8年ぶりに知床の流氷の海に帰ってきました。そこで見た、知床の自然は寺沢氏の目にどう映ったのか―。

近年、スケトウダラの漁獲量は激減し、さらに流氷は温暖化の影響で氷が小さく薄くなったと言われる知床。
流氷の下のプランクトンからスタートする食物連鎖の構図は、今の知床にどのように残り、成り立っているのか。
厳しい冬を懸命に生き延びる野生動物達の姿、そして美しく豊かな自然景観、幻想的な流氷下の水中撮影などを随所にたっぷり織り交ぜ、他の番組にない本当の知床の「今」の姿を描きます。

寺沢孝毅

1960年、北海道士別市生まれ。
1982年4月、北海道教育大学を卒業後、希望して天売島にある羽幌町立天売小学校に教師として赴任。
1992年、天売島での10年間の教員生活の後に退職。そのまま天売島に住み着く。教員時代から続けてきた、絶滅危惧種のウミガラスをはじめとする海鳥の保護・調査を継続。そのかたわら自然写真家としての活動を本格的に開始する。
1992年、ウミガラスの保護活動で北海道青少年科学文化振興賞受賞。
1999年に、天売島海鳥情報センター「海の宇宙館」を天売島に開設し、自身の写真を生かした展示を行う。
2006年、ウミガラスなどの長年にわたる鳥類保護で日本鳥類保護連盟会長賞を受賞。
2009年、守りたい生命プロジェクト有限責任事業組合(LLP 守りたい生命プロジェクト)を設立し、代表に就く。

取材地は、天売島はもちろんのこと、知床、ロシア、アラスカ、北極圏、ボルネオ島、西表島など多岐にわたり、熱帯から極地までカバーする。地球の随所で起きている環境変化や生物の生息環境の悪化に目を向ける。