昭和偉人伝
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林家三平
人々の記憶に深く刻まれている「昭和の爆笑王」初代・林家三平。
昭和30年代、戦争の傷が少しずつ癒え、人々が明日への希望を抱き始めた頃、型破りな落語家・林家三平が彗星のごとく登場し、時代の寵児となります。それはまさにテレビの普及と重なり合う時代。三平が「どうもすいません」とやると、客席も、お茶の間も、爆笑の渦に包まれました。三平は日本中に「笑い」を届けたのです。
そんな三平の人生は決して順風満帆とは言えませんでした。早くして実の父であり、師匠でもある7代目・林家正蔵を亡くし、母息子2人っきりになった三平は落語界のある騒動に巻き込まれます。その時、若き三平は屈辱的な思いを味わうのです。妻・香葉子さんとの結婚生活も苦労の連続でした。香葉子さんは結婚後、世間には三平の妹として振るまい、内職に明け暮れる生活を送ります。
今回番組では多くの関係者に取材を行いました。妻・海老名香葉子さん、長男9代目林家正蔵、次男2代目林家三平、次女泰葉、さらに林家ペーを初めとする多くの弟子たち、落語会の重鎮三遊亭圓歌、さらにテレビ黎明期から三平とともに「笑い」を作り続けてきた放送作家や制作者の面々。それぞれが語ったのは、これまで誰も知ることのなかった三平の素顔でした。
お茶の間、客席、仲間、そして家族、誰からも愛された林家三平。「三平のことを悪く言う者はいない」と彼を知る誰もがそう言いきります。愛すべき人間だった林家三平が追求した芸の神髄、そして若くして味わった屈辱の真相に迫ります。