にほん風景物語
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「草枕」の舞台 熊本・小天(おあま)~漱石が小説家として目覚めた地~
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに 人の世は住みにくい。」
漱石が39歳にして発表した「草枕」。漱石文学の中でも現代にも通じる、西欧と東洋の狭間で揺れ動く日本人論を表現した作品としてあまりにも有名です。
峠を越えればそこに広がる有明の光芒。苔むし竹の落ち葉におおわれた石畳道に佇めば、いつしか世俗を忘れ向こうから夏目漱石が歩いてくるような錯覚さえ覚えます。
4年3ケ月の熊本滞在中6回の転居。五校(現熊本大学)でのボート部の顧問でもあった教員時代。次世代へ伝えたかった事、漱石が描く「非人情」の世界とは?
その原作の舞台となった熊本で、著名な俳人でもあった若き漱石が、作家になる前に歩いた峠とみかん畑、ゆかりある温泉や風景を、作家・高橋源一郎氏が自ら「映像」を切り取りながら名作「草枕」を歩きます。