ヨーロッパ路地裏紀行

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[ イギリス ]  ブロードウェイマーケット ロンドン





イギリスの首都・ロンドン。テムズ川沿いに佇む金融街、シティはかつて、ロンドンの中心だった。シティのほど近くのブロードウェイマーケットは、古くから生鮮食品市で有名な通り。大都市の下町、東ロンドンに根付く生活がここにある。

毎週土曜日、オーガニック市の立つブロードウェイマーケット。わずか200メートルの間に小さな店舗が立ち並ぶ商店街だ。今回は、この通りに生きる2人の女性の人生にスポットを当てる。

*フラワーデザイナー アテナ・ダンカンさん (52歳)

通りの入り口近くに、話題の花屋がある。レベル・レベル。個人用の花束から、大きなイベントの飾り付け、また王室の仕事までを請け負っている。店主のアテナは40歳まで、テレビの仕事をしていた。忙しく充実した毎日だったが、ふと気付くと自分が同じことしか繰り返していることに気づき、転身を決めた。アテナの元には日々たくさんの客が訪れるが、その一つ一つに物語があることに、アテナは誇りを感じている。人の生活を彩り、悲しみにさえも寄り添えるこの仕事は、彼女の天職だ。

*中古家具販売店店主 サラ・バンクロフトさん(52歳)  

アテナの花屋のはす向かいには、休日しか開店しない中古家具の販売店がある。しかし店主のサラは、平日でも働いている。平日にガレージセールで中古家具を仕入れ、それを修理して、賑わう休日に一気に売ってしまうのだ。サラのセンスと、丁寧な仕事は評判がいい。
サラの母の趣味は、ガレージセール巡りだった。幼い頃から中古家具に多く触れて来たサラは、自然と良いものを見分けるセンスを身につけた。大人になり、家具職人の道を選んだサラは、祖母が雑貨店を開いていたブロードウェイマーケットに工房を構えた。4年前に、長年一緒に住んでいたパートナーを亡くして未だにその傷も癒えていないが、サラの悲しみはいつだって通りが優しく包んでいる。