ヨーロッパ路地裏紀行

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[ イギリス ]  バーモンジー通り ロンドン






おしゃれな店やアーティストが集まるバーモンジー通り。ロンドンでは珍しく、どこの店でも犬を連れて買い物ができる、犬通りとしても知られている。 まずはクリスマスを前に、ちょっと素敵なイベントを考えている2人の穏やかな日常だ。

*空間デザイナー 
ジェームズ・バティソンさん (39歳)

イギリス南部の港町、ポーツマス生まれのジェームス。いま、通りの端にある巨大な高架下の空間にイベント会場作りの真っ最中だ。ジェームズの仕事は何もない空間を意義のあるものに変えること。いわば命を吹き込むことだ。いまジェームズが考えているのは音楽とお酒が楽しめ、さらに19世紀の下町ロンドンにタイムスリップできる空間。イベントは2日後。日々、突貫工事が続いている。仕事は充実、忙しいジェームズだが、家に帰ったら愛犬と2人っきり。犬を通して友達はたくさんできたが、それ以上の存在になる人が現れてくれることが、いまのジェームズの小さな夢だ。

*雑貨店店主 リズ・ディロンさん(38歳) 

通りの入り口には、3年前にオープンした小さな雑貨屋がある。店主のリズが父親から譲り受けた店舗で、並んでいるのは地元のアーティストたちが作った品物。リズがこだわって集めたものばかりだ。そして、リズはここで小さなヨガ教室も開いている。店舗は元々、薬剤師の父が経営する薬局だった。父はリズが大学生の時に脳梗塞で倒れ、記憶をほとんど失ってしまった。それからリズはセラピストの勉強を始め、父を支え続けた。ある日、リズの気持ちが届いたのか、父は少し目を開けて、閉じた。それだけのことだったけれど、それ以来リズは誰かと心でつながることを何よりも大切に生きてきた。