ヨーロッパ路地裏紀行
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[ ロンドン ] バーウィック通り/SOHO
第八回の舞台はロンドン、ソーホー地区にあるバーウィック通り。古くから、海外からの移民や若者たちが集まり、ロンドン最新の文化を生み出してきた活気溢れる路地だ。通りにはお洒落なカフェ、各国の料理店、昔ながらのパブ、服飾雑貨店が並ぶ。
*ビスポーク・テーラーオーナー
クリス・カーさん(40歳)
バーウィック通りの中程に、一軒のビスポーク・テーラーがある。若き店主、クリス・カーの店だ。実はクリスの店は、今をときめく男性たち御用達のテーラーだ。顧客には、007のダニエル・クレイグ、ジョニー・デップなど蒼々たる名前が並ぶ。
今やお洒落にこだわるロンドンっ子をうならす技を持つクリスだが、テーラーを始めたのは26歳になってから。そんなクリスを育てたのは、父、創業者のエディだ。エディは、17歳のときにテーラーの見習いでソーホー地区にやってきた。1963年にバーウィック通りに落ち着いてから、50年近く。ずっと通りを見てきた。イギリスの伝統産業、ビスポーク・テーラー業を守る父子の日常を見つめる。
*レコード店オーナー フィル・バートンさん(47歳)
テーラーの二軒隣りにあるレコード店。オーナーはフィル・バートンだ。7年前、念願だったこの通りのレコード店を買い取った。子どもの頃から父親の聴くロックで大きくなった。レコード店を持つことは、永年の夢だった。
フィルのレコード店は、6割がLPレコードだ。今の世の中は、みんな、音楽をネットでダウンロードしてイヤホンで聴く時代。でも、フィルはLPレコードの持つジャケット、デザイン性豊かなレコード解説、スピーカーを通して聴く音色に惚れ込んでいる。少しでも、LPを長生きさせようと、奮闘する姿を紹介する。