ヨーロッパ路地裏紀行

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 [ ベネチア ]  ルガ・ジュッファ通り






第四回の舞台はベネチア、カステッロ地区にあるジュッファ通り。この地区はベネチアの下町とも言われる場所、ジュッファ通りもバールあり、青果店あり、ホテルありと人々が生き生きと生活する場所だ。

*青果店 ルイジーナ・カワーリオさん(63歳)

結婚後、夫のミケーレとともに、ジュッファ通りにやってきて青果店を開いた。今年で34年になる。二人の店は、一日中客足が絶えない活気のある店だ。
生計を確実に立てるためにと、夫婦で考え、始めたのが青果店だった。そもそも洋服屋の店員だったルイジーナが一番こだわったのが「オシャレ」だった。「当時、店の女たちはみんなおしゃれを忘れていたの。私はそれが許せなかった。だから、白いブラウスを着て、髪をきれいに編み、革靴をはいて、店に立ったのよ!」
話好きで活力あふれる彼女は通りの人気者だ。常連客も多く、中にはただ話しをしていくだけの客もいる。「夫とゼロから始めたこの店が生きがいなの」この店は彼女にとって宝物のような場所だという。

*ホテル・ピアーヴェ ミレッラ・ドーリアさん(65歳)

ホテル・ピアーヴェはそもそも、ミレッラの夫、パオロの両親が始めた食堂兼宿泊施設だった。戦前、新婚旅行でベネチアの地を訪れた両親はこの地が気に入り、戦後間もなく、ジュッファ通りで店を始めたのだ。
ミレッラが嫁いだ頃、店は繁盛していた。義父の作る料理は大人気で、人であふれていた。しかし、その義父が心臓病で倒れてしまう。「義父の命を守るために、私たちは食堂を手放すことを決断した。そして宿泊施設だけ続けたの」
ミレッラと夫は義父が亡くなった1994年、現在のホテルに改装することを決意。家も山の別荘もすべてを手放し、ゼロからのスタートとなった。「形を変えても、義父のように続けていきたい」という一念だった。
リピーターも多く、今やベネチアでも人気ホテルの一つとなった。娘や息子がホテルの経営を手伝ってくれる。「ここは家族のホテルなの。あとは彼らに任せるつもり」
ホテルで働く家族の姿を紹介します。