ヨーロッパ路地裏紀行
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[ パリ ] ビュシュリー通り/パリ5区
パリ5区のビュシュリー通り。サン・ミッシェル広場やノートルダム寺院に程近いこの通りは訪れる観光客も多く活気がありながらも、昔ながらの雰囲気を残している。
*「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」店主、シルヴィア・ホイットマンさん、30歳。
“シェイクスピア・アンド・カンパニー書店”は1951年、父親がこの通りに開いた英米文学の書籍専門店だ。もともとは別の経営者で、ヘミングウェイたち文豪も通い詰めた由緒ある書店。だがナチスのパリ入城を機に書店は閉鎖した。そして戦後、シルヴィアの父が同じ名前で引き継いだ。娘のシルヴィアはかつてイギリスで舞台女優をしていたが、パリへやって来たのは10年前のこと。歴史ある本屋のことそして、何よりも父のことを知りたいと思ったからだ。
昨年亡くなった父に倣い、現在も彼女は書店の2階を作家の卵たちの生活と仕事場として、提供している。
*フランス伝統家庭料理店オーナー、ベルトラン・シリーさん(49歳) 妻、オディールさん(48歳)。
1950年代から続くフランス料理の店を、この通りの一角で代々家族で経営してきた。
三代目のベルトランも4歳の頃からの幼なじみの妻・オディールと二人三脚で店を切り盛りしている。二人の間には、育ち盛りの男の子が3人。仕事と子育て、忙しい毎日を支えるのは、代々守ってきた店への想いと、家族の絆に他ならない。
サン・ミッシェル広場やノートルダム寺院に程近い、セーヌ左岸ビュシュリー通り。
伝統と歴史を守ろうとする書店の若き店主と、料理屋の幼なじみ夫婦の物語です。