ヨーロッパ路地裏紀行
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[ パリ ] ビシャ通り/パリ10区
第一回の舞台はパリ10区のビシャ通り。情緒溢れるサンマルタン運河のひとつ北を走るこの通りには、さまざまな人種の人々が暮らしている。
*作家のエリーズ・フォントナイユさん、51歳。
28年前にパリにやってきた彼女は、雑誌記者から作家に転身、現在は児童小説を書いている。20歳と18歳の息子がいるが、離婚した元夫の家を行ったり来たりの暮らしだ。映画の舞台にもなった北ホテルや運河をカメラ片手に散歩しながら小説の構想を練る毎日。今は映画化の話が持ち上がりシナリオを練っている。
*カフェの主人アデル・ハババ、64歳。
セーヌ右岸でも有名なカフェを経営して23年。すっかり通りの顔役だ。ここでは音楽のライブも行われ若者たちのたまり場でもある。シリア出身の彼には、息子と二人の可愛い娘がいる。だが実は、14年前に娘二人を火事で亡くした悲しい思い出がある。彼を慰めたのはたくさんの客たちだった。
多国籍の人々が暮らすセーヌ右岸のビシャ通り。女流作家とカフェの主人が繰り広げるパリの下町の物語です。