中国神秘紀行

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作品内容

シルクロードに消えた西夏王国の謎 ~寧夏回族自治州~

今回は、中国の中北部の寧夏(ねいか)回族自治州を旅します。

古来、この土地はシルクロード交易によって栄えた所でした。今のシルクロードに残された寧夏の魅力をたどります。陝西省(せんせいしょう)の西安から北西に進路をとるシルクロードを向かうと簫関(しょうかん)という関所跡が残っています。軍事的にも重要な拠点とされ、およそ2200年前の秦の時代に設けられたのが始まりです。この簫関の北にあるのが固原(こげん)の町です。およそ900年前に、この地を支配した王国がありました。その国の名は「西夏(せいか)」。シルクロードの交易によって国を築き上げた証が固原の博物館に保存されています。その中で、ギリシャ神話を物語る金と銀に彩られた壷は西域と繋がりを示す貴重な文物です。一体、西夏王朝とはどのような国だったのでしょうか?

固原の近くで出会ったのはイスラム教徒の回族(かいぞく)です。彼らの珍しい風習である土葬の様子をご紹介します。実は、西夏王朝は、元王朝によって滅ぼされたのです。その元の進攻とともにこの地に住み着いたのが回族なのです。

西夏王朝の歴史をたどりつつシルクロードを北へ銀川(ぎんせん)に向かいます。銀川は寧夏回族自治州の中心都市です。ここに西夏王朝の陵墓があります。200年近く続いた王朝の権力を示す陵墓からも当時の様子を伺わせる文物が発掘されています。中でも象徴的なのが彼ら独自の文字「西夏文字」です。表意文字で漢字に似ていますが、独特の形態を持ち6000字あまりが現在、残っています。

この銀川から西夏王朝が築いた古代のシルクロードを列車で南西へと向かいます。そこには広大で美しいトングーリー砂漠が広がります。砂塵がもたらす砂漠の美しさとは裏腹に現在、問題となっているのが砂漠化が進行している事です。現地の環境問題に取り組む人々は、麦わらを使ってユニークな緑化に取り組んでいます。

西夏王朝の時のシルクロードは寧夏の北に位置する黄河ぞいの道でした。黄河を渡るために使われたのが筏(いかだ)です。それは羊の皮を膨らませ、浮き輪として利用する筏です。その筏を使って黄河を渡るのが観光客に人気となっています。

かつて一大勢力を放って寧夏の地にあった西夏王朝。その繁栄とシルクロードの面影を偲ばせるこの地は、今も人々を旅へと向かわせる魅力に満ちているのです。

初回放送:2010年8月6日