中国神秘紀行
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世界遺産の歌声 歌と生きるトン族の世界 ~貴州省~
今回は、中国の西南部の山岳地帯、貴州省(きしゅうしょう)を旅します。
山深い里に数多くの少数民族が暮らす貴州省、その中で「歌」と共に暮らして来たのが「侗族(トン族)」です。彼らにとって歌は、先祖代々伝えられてきたもので、その歴史はおよそ2500年と言われています。「侗族大歌」と呼ばれ2005年、世界無形文化遺産に指定されました。伝統の歌の内容には、生きることの喜びや、山岳地帯で生きてゆくための知恵などが盛り込まれ、侗族の文化の礎となっているのです。
最初に訪れたのは、「歌の郷」と呼ばれる貴州省の東部の村、小黄(しょうおう)です。村人は、稲作を中心に暮らしています。村の中の風景は、昔の日本の農村部の情景を見るようで懐かしい思いに駆られます。民族衣装や生活道具の多くが、自らの手作りです。特に民族衣装は、綿の糸作りから生地を作るまで丹念に作られています。深い紫色の服は、表面が艶やかで輝いています。この艶にはあるものを入れて服を染め上げるとできるのだそうです。
若者達は、夜な夜な友人達の家に集まってきます。若い男女は、5人から10人ほどの歌のグループを作り、寄り合っては歌を歌いみんなで楽しむのです。そこには、楽しい歌の駆け引きやゲームのようなものもあり、若い男女の交流の場ともなっています。
小黄村の子供達も歌が大好きです。授業の内容も歌が盛りだくさん。子供達の様子を見ていると、ここにも懐かしい日本の昔の子供達を思い起こさせるような雰囲気に満ちあふれているのです。
もうひとつ侗族の村を訪ねました。占里という村です。ここでは不思議な歌が村に伝わっています。夫婦は子供を持つならば、男女ひとりづづのふたりまでが良いと言うのです。一体、どういうことなんでしょう?
驚くべきは、村には男の子と女の子を産み分けができるという伝統の秘薬があると言うのです。なんでもその秘密を教えて欲しいと海外の製薬会社が大金を持って交渉にあたったそうですが、決して教える事はなかったと言います。
今回、特別に男女を産み分けができるという秘薬の謎に迫ることができました。秘薬と伝統の歌には、山岳地帯で永々と暮らして来た侗族の知恵が深く織り込まれていたのです。
さあ、奥深い山々の大自然に育まれてきた侗族大歌の旅が待っています。
初回放送:2010年7月30日