中国神秘紀行

世界遺産　カルストに生きるヤオ族の秘儀　～貴州省～

今回は中国の西南部の貴州省の山岳地帯を旅します。
貴州省の省都／貴陽（きよう）から南へおよそ３７０km、目指すは茘波（れいは）という町です。ここには２００７年に登録されたばかりの茘波カルストと呼ばれる世界自然遺産があります。貴州省の多くを占めるカルスト地形の山々から流れ出す美しい水と森の大自然が広がっているのです。世界遺産に指定されるまでは外部の人々はほとんど訪れることのない、まさに秘境であったのです。この山深い地域には、およそ２２の少数民族が暮らしてきました。その中でも独特の風習を持つのがヤオ族です。ヤオ族の暮らしには長年培われてきた知恵がありました。彼らの謎を秘めた暮らしと夏に行われる奇祭を紹介、また世界自然遺産の美しさに迫ります。
茘波には、白袴ヤオ族という人々がいます。元来山奥の山岳地帯に暮らす狩猟民族でした。ところが１９５４年以来、中国政府による政策によって山を下り定住しながら農耕生活を送るようになったのです。しかし、白袴ヤオ族の暮らしや文化は代々引き継がれてきた伝統が色濃く残されているのです。そこには原始的でありながら実に興味深い世界があります。湿度の高い気候のため食物倉庫は、高床式です。柱には、なぜか壷が挟まっています。一体なんのためでしょうか？白袴ヤオ族の民族衣装は独特です。麻を織り込んだ貫頭衣を女性はまといます。この衣装の背中に描かれた四角形を基調とした独特の文様はどのようにして作られるのでしょうか？そして四角形の文様の意味は？
夏に行われる祭りは、白袴ヤオ族の村にそびえる巨大な神樹を讃えるもの。
その祭りには原始狩猟民族であった証が今も色濃く残っているのです。
この白袴ヤオ族の暮らしを支えてきたのが、美しい山々が育んだ大自然です。
中でも、「水上森林」と呼ばれる不思議な世界があります。それは、水の上に森があるという奇怪な光景なのです。一体、水上森林はどのようにして誕生したのでしょうか？カルストの大山岳地帯へ、その謎を求めて探検が始まります。
その果てに待っていたのは「緑の宝石」と呼ばれる光景でした。
茘波カルストの織りなす自然の美と独特の風習を持つ白袴ヤオ族の世界をご堪能下さい。

初回放送：2009年11月5日