中国神秘紀行

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作品内容

世界遺産 平遥古城から聖地・五台山へ ~山西省~

今回は、黄河中流域の山西省を旅します。広大な黄土高原が広がる大地に中国の礎を築いた町が人々の心の拠り所となった山々があるのです。何百年と時を経て、今もなお色あせない山西省の魅力とは何かを探ります。
まず訪れたのが、山西省南部の古都、平遥古城(へいようこじょう)です。平遥は、町そのものが1997年に世界文化遺産に登録されています。
およそ600年前の明の時代の面影を残す貴重な町です。平遥は強固な城壁に囲まれた城郭都市、この町は中国王朝にとって非常に重要な拠点だったのです。平遥は「東洋のウォール街」と例えられるほど金融都市として栄え、明の時代には「山西商人」と呼ばれる商人たちが活躍しました。町には金融業で財をなした豪華な邸宅がいくつも残っています。また商店街には、築500年という明代の店舗や、屋号を掲げた清代の大商店が軒を連ねているのです。平遥の名物は、小麦粉を使ったグルメ。小麦粉の固まりを包丁で切り出す「刀削麺(とうしょうめん)」は、まさに職人技。また「猫の耳麺」とういう珍しいグルメも登場します。
そして、山西省の名産が「漆器」。品質の高い漆塗りの箱や絵画が観光客に人気です。艶やかな漆の美しい輝きに、実は秘密があるのです。
それは、結婚していない女性にしかできない職人技なんだそうです。
一体どういう技なんでしょうか?
さて次に目指すのが、平遥の北方にある「五台山(ごだいさん)」です。
五台山は中国仏教の聖地で、地形は「釈迦の掌」と比喩され五本の指は五つの嶺を、そして囲まれた手のひらに数多くの寺が点在しています。
この五台山と関わりの深い日本人がいます。遣唐使として活躍した僧侶、慈覚大師円仁(じかくたいしえんにん)です。天台宗の祖、最澄に師事し、悟りを深め確信を得たいと情熱に突き動かされ海を渡ったのです。
そして、仏教の聖地「五台山」へと向かいます。五台山は三千メートル級の山々が連なり、その周りは黄土高原、剥き出しの黄色い大地が果てしなく広がっています。現在も五台山には、唐代の密教文化の栄華を象徴するかのように素晴らしい寺々が出迎えてくれます。
今も、仏に深い思いを寄せる人々、円仁の五台山での暮らしを彷彿させる僧侶の素朴な暮らし、昔から今まで日中両国の仏教界をつなぐ架け橋であった五台山の魅力に迫ります。

初回放送:2009年5月21日