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ストーリー

4/11(金)の放送
ダンテ・ジャコーザの追憶

Dante Giacosa in his house, Italia

いまは亡きダンテ・ジャコーザ。フィアット100有余年の歴史の上で40年にもわたってそのメカニズムの先進性を牽引してきただけではなく、自動車の歴史そのものにもエポックを築き上げてきた、近代の偉大な設計者である。その功績はあまりにも多岐にわたるが、14年前、我々がトリノのご自宅を訪ねたときの目的は、かわいらしいチンクエチェントの思い出を、ご本人の口から聞き出すことだった。

Fiat Seicento

ジャコーザは1927年トリノ工科大学を卒業。フィアット傘下のSPA社に入る。最初は品質管理を担当していたが、仕事の合間にアイディアをスケッチにして、徐々に才能を開花。シンプルなデザインと、ラジエータをエンジンの後にするなど際立ったアイディアで低価格を実現。フィアット初のリアエンジン、セイチェントを誕生させた。フィアットが量産車とモータリングを一般の人にも手の届くものにしたのも彼の功績である。

Fiat Cinquecento and Dante Giacosa

チンクエチェントの開発は、「自然に生まれてきたようなもの」と彼は言う。600に似た2つのモデルが最初に作られた。毎日チーズ削り器を使ってスタイルを作り出した。鉄板の量を減らすため、ボディの表面積を少なく、丸みを帯びたデザインとなった。さらに4段ギアと油圧ブレーキを先取りした。1970年一線を離れたがこう語る。「私はまだ現役のつもりです。だから自分で仕事をつくります。それが私の人生なのだから。」