カーグラフィックTV

  • トップページ
  • バックナンバー

ストーリー

12/12(火)の放送
イセッタ物語

BMW ISETTA 300

戦後の経済復興が始まった50年代初め、日本やドイツだけではなくイタリアにも独創のかたまりのような豆グルマが輩出された。イセッタと名づけられた、その小さな傑作は、皮肉にもドイツやフランスに身売りされてから評価が高まるのだが、いずれにせよ、その革新の思想には目を見張るばかり。これは、そんなイセッタの物語である。イセッタ300は4ストロークの単気筒エンジンで、オートバイのエンジンの流用だが、太鼓をたたくような低音が響く。それはフィアット500にも通ずるものがある。

ISO ISETTA

イゾというメーカーはもともと冷蔵庫や魔法瓶をつくる会社で、戦後、最低限の移動ができるものとして、大人2人と子ども、そして荷物が1つ乗るクルマを求めた。そこにイタリアのデザイナー、ジョビーニが1枚の設計図を持ち込んだという。全天候型で軽量化したタマゴ型の3輪車。ルーフは巻き上げ式のサンルーフ。フロントのサスペンションにはゴムが使われた。ミッドシップのエンジンは9.5馬力。しかし、皮肉にも本国イタリアでは1957年には生産中止となった。

BMW ISETTA 250

このクルマは1955年製。BMWに身売りされて最初につくられたもの。日本には翌年の1956年に、ドイツ大使の奥様が日本で使うというので盛ってきたが、当時は、都電も走っていたので路面がデコボコして乗れないというので、手放したという。それを現在のオーナー、板倉章治さんの父が買ったのだそうだ。前を開いて乗り降りするところがユニークで、ドアを開けるとステアリングもドアと一緒に動く。ドイツやイタリアでは、ダンプや空港の送迎車もつくられたという。