文化遺産の旅
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熊本県・八代市



今回の訪問地は、熊本県。八代海と球磨川に開けた、八代市の文化を紹介する。

旅の始まりは、八代市の中心から。松浜軒を訪れた。格式ある庭園と茶室に、心が洗われる。熊本藩八代城主が築いた、大名庭園だ。

旅は、球磨川を越えて南へと進む。民家の庭に、十三重の石塔が見えた。仏と鬼の面を刻む、凛とした姿だ。建立は、鎌倉時代。本来は寺にあった石塔だという。

貴重な国の文化財です。
そもそも肥後・八代には、石の文化が伝統として存在する。薩摩街道には、江戸時代の石橋が数多く残っていた。二見眼鏡橋群と呼ばれる一群だ。橋はいずれも優雅なアーチ状。当時の姿を良く留めていた。

旅の後半は、五家荘へ。平家と菅原家の落人伝説で知られる、山間の里だ。樅木の吊り橋は、まさに壮観。深い渓谷が、独特の文化を育んでいた。

声の旅人を迎えたのは、久連子鶏。五家荘久連子の集落だけで飼われてきた、幻の地鶏だ。鮮やかな尾羽根は、花笠に加工される。シャグマと呼ばれる、祭りの被り物。伝統芸能・久連子踊りに欠かせない装飾だ。

久連子踊りがいつから始まったのか。詳細は定かではない。それでも舞いは脈々と受け継がれている。八代の地には、時を超えた人の思いが息づいていた。