文化遺産の旅
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島根県・松江・出雲編



今回の訪問地は、島根県。日本海に面した島根半島を横断。古来から伝わる文化を紹介する。

旅の始まりは、島根半島の東端・地蔵崎から。大山隠岐国立公園にある、美しい岬だ。美保関灯台は、明治31年の建築。白亜の姿が、凛々しくも眩しい。文化財指定を受けた今も変わらず、航海の安全を守っていた。

近くの美保関港には、島崎藤村ゆかりの美保館があった。明治創業の旅館が、大切に保存されている。現在は食事処に看板を替えてはいるが、往時の面影は変わらない。声の旅人・寺田農は、窓外に広がる日本海にしばし見入った。

旅の後半は、西へ進んで出雲市へ。伝統的な出雲屋敷と庭園を訪れた。明治時代に建てられた屋敷は、質実剛健。見事な長屋門も健在だ。同じ敷地内には、千利休ゆかりの茶室も復元展示されていた。時代も場所も異なるが、不思議な一体感がある。これも、文化の重みが醸し出す調和だろうか。

旅は進んで、島根半島の西端・日御碕へ。絶壁に建つ、日御碕神社に向かう。社殿は江戸時代の建立だが、歴史を遡れば神話の時代にまで辿り着く。日の出と日の入りを巡る壮大な物語を聞いて、声の旅人も感嘆の声をあげた。

締め括りは、渓谷と断崖の立久恵峡。侵食が造り上げた、自然の造形が見事。個性豊かな岩に付けられた名前に、先人たちの想像力が偲ばれる。松江・出雲の文化には、大自然を敬う人々の知恵と歓びが満ちていた。