世界の名画 ~美の迷宮への旅~

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ストーリー

近代絵画の扉を開いた男 エドゥアール・マネ「笛を吹く少年」

番組名

今日の一枚は19世紀フランスを代表する画家エドゥアール・マネの「笛を吹く少年」。
「印象派の父」「近代絵画の創始者」と呼ばれた彼が34歳の時に描いた作品です。
灰色で処理された背景に鼓笛隊の少年が確かな存在感を持って、浮かび上がっています。
少年が地面にたっていることを表現しているのは足元の小さな影のみ。顔は真正面から光を受けて、ほとんど影がありません。
マネは少年を包む空気感を描くことに成功しました。
しかし、これは当時の絵画の常識であった背景や物語をなくした、まさに実験作。保守的な画壇への挑戦でもあったのです。
全ての始まりは「草上の昼食」、そして「オランピア」という2つの問題作でした。画壇ばかりか一般市民をも挑発し、みずからスキャンダルの渦中に身を投じたのです。
両作に描かれたのは神格化された世界ではなく、現代に生きる女性のヌード。しかも「オランピア」の女性は明らかに娼婦と分かる記号をつけて描いたのです。
マネの新たな試みは後に印象派と呼ばれる若い画家たちを勇気付けました。ところがマネはサロンに背を向けず、真っ向から挑んで行きました。
「サロンこそ真の戦場だ」。 
  保守的なアカデミスムという権威の中でマネは戦い続けたのです。
実はその陰にはマネが生涯を懸けて挑んだ伝統への挑戦と苦悩、そして、あるスペイン絵画の巨匠との出会いがありました。
今回の地上の旅はマネを始めとする、当時のパリっ子たちが楽しんだ、19世紀の流行を求め、パリの街へ。マネを始め、印象派の画家たちが描いた近代化の象徴、更には当時の最新のファッションにも迫ります。
伝統の中で革命を起こそうとしたマネ。伝統を受け継ぎながら、新たな世界を生み出そうとした、革命画家の人生が今、明らかに!