世界の名画 ~美の迷宮への旅~

  • トップページ
  • バックナンバー

ストーリー

自然と美のハーモニー ピカソ 「海辺の母子像」

番組名

20世紀絵画の巨匠パブロ・ピカソは、その人生で幾度となく大きく画風を変えた画家です。二十歳となった1901年から四年間は、深い青を基調とする作品を次々に描いていました。この時期をピカソの"青の時代"と呼びます。1万3500点に昇る絵画を描いた多作なピカソですが、"青の時代"の作品は極めて少なく、同じピカソの作品でも青の時代のものは特に貴重です。
そんな"青の時代"の傑作が観られる場所が日本にあります。箱根のポーラ美術館です。ピカソの作品以外にも、モネの「睡蓮」やルノワールの「レースの帽子の少女」を始めとする印象派とその周辺の魅力的な作品の数々が楽しめます。また日本人の作品も、黒田清輝の「野辺」など、洋画はもとより、日本画の新たな境地を切り拓いた杉山寧の傑作なども観られます。その数は絵画だけでも約840点、総数では一万点にも昇ります。
美術館に収蔵されたこれらの作品は、ポーラ化粧品本舗の二代目社長、鈴木常司がたった一人で集めたものです。
彼は、地方の一企業を日本で指折りの化粧品メーカーに育て上げた辣腕の経営者でした。厳しいビジネスの最前線で過酷な日々を過ごす彼に、勇気や慰めを与えたのが絵画だったのです。
絵画収集を始めてから28年、鈴木常司は運命の一枚と出会います。ピカソの"青の時代"の傑作「海辺の母子像」です。この絵を入手したことがきっかけとなり、鈴木常司は絵画を自分だけで楽しむだけではなく、広く一般に公開することを考え始めます。そしてついに、美術館の設立を決意しました。それが今のポーラ美術館です。
番組では戦後の日本で最大とも言える鈴木常司のコレクションを心ゆくまで堪能するとともに、あえて箱根の大自然の中に美術館を築いたその意味を探ります。