世界の名画 ~美の迷宮への旅~

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ストーリー

油絵の故郷ブルージュをゆく 
ヤン・ファン・エイク「ファン・デル・パールの聖母子」

番組名

15世紀初頭、それまで誰も見たこともない、緻密な描写の作品が描かれました。手ざわりまで感じられそうな衣服、そして本物がそこにあるかのよのようにリアルに描かれた真珠の輝き、宝石の透明感...。この絵を描いたのはヤン・ファン・エイク、油絵の創始者です。ヤン以前にも油絵の具は使用されていましたが、あくまでも絵の一部を塗る程度に留まっていました。ヤンは絵全体を油絵の具で描くことはもとより、絵の具を塗り重ねることにより、全く新しい絵画の世界を切り開いたのです。
西洋絵画の代名詞とも言える油絵を完成させたヤン・ファン・エイクとはどんな画家なのでしょうか? 十五世紀に生きた彼の人生はあまり詳しくはわかっていません。始めはオランダのデン・ハーグにあった宮廷で、仲間とともに写本の挿絵を描いていました。その後、当時勢力を拡大しつつあったブルゴーニュ公国の宮廷に移り、名君フィリップ善良公の寵愛を一身に受けます。そこで生み出したのが、「ファン・デル・パールの聖母子」、「アルノルフィニ夫妻の肖像」、「ロランの聖母子」など、油絵の具で描いた細緻極まる絵画だったのです。
それにしても油絵は何故、当時の芸術の先進国でルネサンスが花開きかけていたイタリアではなく、遥か北の地、ベルギー・フランダース地方で発展したのでしょうか。それには、この地方で栽培されるある植物が深く関わっていました。油絵の黎明期、その背景も合わせて探ります。
番組ではさらに、ヤン・ファン・エイクの最高傑作「ゲント祭壇画」の修復チームを取材。今秋からの修復に先駆けて行った最新の調査結果をご報告します。
また、ヤン・ファン・エイクが活躍した、ベルギーの古都ブルージュを散策。ヤンの技術を引き継いで活躍した画家達の作品を鑑賞します。