世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~
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オランダ絵画黄金時代の旅
フランス・ハルスとロイスダール
今回訪れるのは、オランダ。
17世紀、オランダは世界屈指の海洋貿易で利益を生み、経済的に大きな発展を遂げていました。この時代は、芸術の世界においても「オランダ絵画黄金時代」といわれ、歴史に残る名画が、いくつも描かれました。
モナ・リザ、ラス・メニーナスと並んで世界三大名画の1つに数えられる、レンブラントの「夜警」や、日本人に最も愛される画家フェルメールの「真珠の首飾りの少女」など、この時代のオランダから生まれた名画は枚挙に暇がありません。
そんな中、古都ハールレムで活躍した二人の巨匠がいます。
その一人が、フランス・ハルス。肖像画家だった彼は、ハールレムに住む市井の人々の「笑顔」の肖像画を描き、「笑顔の画家」として脚光を浴びます。それまで肖像画は、富や地位を誇示するためのものとして描かれてきました。
では一体なぜ、ハルスは街の人々の「笑顔」を描いたのでしょう?絵画に込められた想いを探るため、歴史の面影を残す街を歩くと、画家のハールレムに対する、強い愛情が見えてきました。
そして、ハールレムもう一人の巨匠ロイスダール。彼が描いたのは、低地の国オランダらしい、画面いっぱいに広がる広大な空。そして、圧倒的な大パノラマの視点から描かれた風景。
それまで風景画は、歴史画や神話画に比べ、格の低い存在として扱われていました。
しかしロイスダールは風景を主役に描きことで大変な人気を呼び、「オランダ風景画の祖」と称されました。その影響は、ドラクロワをはじめ、後に誕生する多くの画家にまで及んでいるのです。
何人もの巨匠が群雄割拠し、いくつもの名画が生まれたこの時代。絵画の大きな波を生んだハールレムで、その魅力に迫ります。