世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~
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もう一つのルネサンス 水と色彩の都 世界遺産ベネチアの旅
14世紀頃あらゆる芸術の復興を目指し、フィレンツェに端を発したルネサンス。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍した同じ頃、ベネチアでは独自の展開を見せる「もう一つのルネサンス」が生まれていました。 ルネサンス三大巨匠とは異なる魅力で輝いたのがベネチア派。入念なデッサンが必要とされるフィレンツェ派に対し、自由な塗り重ねと豊かな色彩が特徴。最も有名な画家の一人が謎多き傑作「嵐(テンペスタ)」で知られるジョルジョーネです。ベネチア派の開祖ベルリーニの元で修行した彼はレオナルド・ダ・ヴィンチが開拓した「スフマート」と呼ばれるぼかし技法を巧みに操り、詩的で牧歌的な田園風景を描きました。 「風景と人物が一体となった絵画」「宗教、寓意、歴史などの意味を持たない小作品」という、それまで無かったジャンルや作風を生み出したのです。しかしジョルジョーネは33歳の若さでこの世を去ります。 ジョルジョーネ亡き後、一躍注目されたのが彼の弟子で盛期ルネサンス期最大の画家ティツィアーノでした。確かな技量と同時に自己プロデュース力にも優れていた彼はヨーロッパ中の王族・貴族たちをパトロンに携え活躍します。「色彩の錬金術師」とも称され、生命力や官能性溢れる絵画を開拓。代表作「ウルビーノのヴィーナス」の裸体表現は後世の画家に決定的な影響を与えました。 彼らの色彩豊かな作品の秘密を求め、ベネチアを巡ります。色鮮やかなモザイクガラスが魅力のサンマルコ大聖堂。そしてベネチアアングラスの本場ムラーノ島では名画に通じるまばゆい光と色彩の伝統工芸を紹介します。さらに海に面していることで生まれた絵画革命の秘密にも迫ります。 「デッサンのフィレンツェ」に対し、独自の絵画を展開した「色彩のベネチア」。知られざるもう一つのルネサンスの秘密とは?