世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~
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ゴーガン パリ・ブルターニュの旅
野生の画家 誕生の秘密
アメリカの美術館に所蔵されている名画「黄色いキリスト」…作者は、19世紀フランスの画家、ポール・ゴーギャン。1889年に描かれた初期の代表作です。キリストを鮮やかな黄色で描写し「自分にしか出せない色で描く」というゴーギャンの強い自信と情熱を感じる作品です。ゴーギャンは、パリの裕福な仲買人だった30代半ば、印象派の画家たちと出会い、プロの画家になる決意をします。しかし次第に方向性の違いを感じ、新たな絵画を模索。絵が売れず困窮を極めた彼は、やがて西洋文明に別れを告げ、理想の楽園をタヒチに求め、旅立つのです。タヒチでは、自然と共に生きる天真爛漫な人々や神秘的な信仰を題材に、大胆な色彩とタッチで次々と名作を残します。本能の赴くままに筆を握る彼は、「野生の画家」として、その名を知られるようになるのです。そんなゴーギャンが、タヒチへと渡る以前、彼の"野生"を目覚めさせ育んだ町があります。フランスの中の異国と呼ばれた、ブルターニュ地方の小さな町・ポンタヴェン。この地で、ゴーギャンは、素朴で原始的な世界を知るのです。創作活動を続けるうち彼は、はっきりした線や単純な形、鮮やかな色彩で対象を表現する「総合主義」という独自の絵画手法を確立しました。番組は、パリからポンタヴェンへ、ゴーギャンの人生の軌跡を辿ります。パリでは、画家の生家を訪ね、新天地のポンタヴェンでは、滞在していたかつての宿や作品のモチーフとなった教会、こよなく愛した風景など、今も残るゆかりの場所をめぐります。また、アルルで共同生活を送ったあの天才画家・ゴッホとの友情や確執など、逸話も紹介。文明社会を捨て、失われた楽園を追い求めて旅を続けたゴーギャンは、「野性の画家」の原点となった地、ポンタヴェンで、何を感じ何を得たのでしょうか…? 20世紀の西洋絵画史に多大な影響を与えたポール・ゴーギャン。その波乱に満ちた人生と作品誕生の秘密に迫ります。