世界の名画 ~素晴らしき美術紀行~
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究極の美を求めて 幸福の画家の旅路
ルノワール「浴女たち」
パリの中心部、ルーヴル美術館と人気を二分する印象派の宝庫オルセー美術館。今回の作品は、この美術館にある印象派の巨匠ルノワール最晩年の作品「浴女たち」です。 太陽が降り注ぐ芝生の上で体を横たえ、くつろぐ女性たち。豊満な体は輝きを放ち、その曲線は伸びやかな筆使いで大胆に描かれています。背景を彩る木々や澄み渡る空の青も裸婦と同じように柔らかいタッチで描かれ、全てが一つに溶け合っています。それはまさに光り輝く究極の美。幸福の画家と称されるルノワールはこの作品を自らこう評しました。「生涯において探求した絵画表現の融合的作品だ」。 晩年、車椅子での生活を余儀なくされたもの の、絵筆を手にくくり付け、精力的に裸婦画 に没頭したルノワール。彼が自ら最高傑作と評したこの作品に込めた想いとは何だったのか?その秘密を求め、最高傑作誕生の地・南フランスの田舎町を訪れます。 カンヌとニースに挟まれた、南フランスのリゾート、カーニュ・シュル・メール。 中世の面影を残す建物が多く建ち並び、小石のビーチも広がる港町です。丘の上の風光明媚な場所オー・ド・カーニュは市内で最も古い歴史を持つ地区。ルノワールが亡くなるまでの11年を過ごしたコレット荘を訪れ、傑作誕生の足跡を辿ります。 また、若き日のルノワールを始め、モネやセザンヌなど後に印象派と呼ばれる画家たちが集まったパリのモンマルトルも探訪。当時、ルノワールは日常の一瞬の光を捉えることで生まれる、微妙な色彩を表現しようと、独自の手法で挑戦していました。しかし、サロンや世間には理解されず、印象派の表現に疑問 を抱くようになっていきます。 実はここに最高傑作「浴女たち」誕生の最大の秘密がありました。幸福の画家が最期に辿り着いた「究極の美」その背景にあった真実の物語をお届けします。