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ストーリー

発見!世界大航海 歴史を変えた男たち
3 ナンセンの北極探検

偉大なる冒険家たちの足跡を追いながら、歴史に埋もれた伝説の裏側を解き明かしていくシリーズ。第3話では真の開拓者として後世に名を残すことになったナンセンの魅力に迫る。
流氷と共に漂流し北極点に到達するという目的で旅立ったフリチョフ・ナンセン。今回のシリーズの案内人であるポール・ローズにとっても長年のヒーローだったナンセンだが、当初抱いていたこの "北極点に到達する"という目的は、失敗に終わってしまう。
しかし失敗の中にも、さまざまな成功が生まれた。ナンセンはフラム号という独創的な船の設計を始め、海水のサンプルを採取する器具を発明したり、スキーを作ったりなど、現代の我々に大きな影響を及ぼす数々の功績を残している。
ナンセンが北極という極寒の地で体験した人間の極限状態も、この探検から生まれた偉業の中の1つ。海洋学の基礎を作り、人類最北の地を体験したナンセンの壮大な探検と美しい氷の世界をお届けする。

ノルウェー人のフリチョフ・ナンセンは 北極探検の父であり、ポール・ローズにとっても長年のヒーロー。1892年の春、ナンセンは北極点に到達する人類初の人間となるために旅立った。 ナンセンは、船を流氷に身を任せることで海流に乗って北極点に漂着するという大胆な計画を打ち立てた。ナンセン以前の船は流氷の圧力で砕け散ってしまっていたので、死が確実とも思われる計画に参加する科学者は1人もいなかった。
しかしナンセンは、革新的なデザインの船を用意した。フラム号と名付けられたその船は、アヒルのような形をしていて、流氷に押しつぶされる代わりに、流氷の上に海面から押し上げられるような設計になっている。
探検は順調な滑り出しで、船もゆっくりと北極点へと近づいていた。しかし流氷はナンセンが期待していたほど船を北極点に近づけてはくれない。そこでナンセンは、船の代わりに自分の足で先を進むことになる。ナンセンは、重ね着、調理用の圧縮ガス、革新的なデザインのスキー、犬ぞりといった、北極で生き抜くための画期的なテクニックを使った。
北極は南極とは違って大陸はなく、氷に覆われていることをナンセンは発見する。彼は、人間が北極や南極の氷に閉ざされた世界でも生き続けられることも、外部からの援助を受けることなく遠距離の移動が可能であることも、身をもって証明した。しかし探検は大きな問題を抱えていた。流氷が北極とは反対の方向に流れ始め、探検の進行を妨げるが、フラム号には方向転換するという選択肢がなかった。
しかしこの失敗が功を奏し、ナンセンは人類がかつて経験したことがない最北の地に到達する。そしてナンセンが見つけた数々の新しい技術や発見は、現代の私たちの生活に影響を与えるほど素晴らしい偉業であった。ナンセンの功績のおかげで、NASAでは宇宙で隔絶された状況に陥ったときの宇宙飛行士たちの対処法が開発されている。
ナンセン以前の北極探検は悲運な運命を遂げたが、ナンセンは素晴らしいことに乗組員たちを全員無事に帰還させている。ナンセンは真の開拓者であった。ナンセンは、現在地球の天気や気候を左右する重要なものとして認識されている海流という分野の学問の素地も作った。現代の私たちは、家族のキャンプ旅行でも、エベレスト登山や北極探検といった場面でも、彼が残した功績の恩恵を受けている。さらにクロスカントリーなどの現代のスキー競技の幕開けにも貢献している。そんな彼の名前は、月や火星のクレーターの名前としても使われているほど人々の心に深く刻み込まれている。