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発見!世界大航海 歴史を変えた男たち
2 キャプテン・クックと新たな世界地図
偉大なる冒険家たちの足跡を追いながら、歴史に埋もれた伝説の裏側を解き明かしていくシリーズ。
オーストラリア開国の父として知られるキャプテン・クックは、1768年、世界周航の旅に出た。第2話である今回は、クックの世界周遊の本当の目的と、それを上回る偉業の数々を紹介していく。
クックはエンデバー号1隻での世界一周を成し遂げ、その探検旅行中、南方大陸の存在を否定する確証を得たり、ニュージーランドを見つけたりと、世界地図を描き換えることとなるさまざまな発見をした。また船員たちの食事や衛生面をクックが徹底的に管理したおかげで、それまでは航海の悩みの種だった壊血病による犠牲者を出さないという偉業も果たされる。この偉大な探検旅行を成功させたクックの類まれなる才能に迫る。
キャプテン・ジェームズ・クックによる発見の数々は世界の地図を描き換え、名も無き海軍将校を国民的ヒーローに変えた。彼の名前を一躍有名にした冒険旅行のエピソードを紹介する。
1768年、クックは国際的規模の科学的共同研究であった金星の太陽面通過を観測するために、世界周航の旅に出た。少なくともポルトガルではこの観測が目的の探検だと伝えられていたが、本当の任務は別にあった。それは、当時地球のバランスから考えても存在すべきだと考えられていた南方大陸を発見することだったのだ。
数ヵ月間海で格闘した後、クックの航海術のおかげで、エンデバー号は広大な太平洋の中心にある小さな島タヒチにたどりつく。タヒチでクックが苦労したのは、物と引き換えに原住民たちと性的関係を持とうとする乗組員たちを止めることだった。タヒチの人々が一番興味を示した物は鉄で、船の修理用の鉄ネジを守るために強硬な策を講じなければならなかった。
光を放つ金属製の象限儀など、観測機器に興味を持った手癖の悪い原住民たちのおかげで、クックの観測は台無しになるところだった。しかし必死の追跡を行った末、島の反対側で乗組員たちが道具を取り返し、クックは無事、観測することができた。そのときの観測結果は、後に太陽系すべての惑星間の距離を知る手がかりとなり、またそれ以上に宇宙の秘密を解明する手がかりとなった。
クックは航海中、初めてニュージーランドを地図に記した。そして南方大陸は存在しないという結論に行き着く。クックは太陽と月と地平線の位置関係から、かつてないほどの正確さで地球上の現在地を割り出すことを可能にした。また彼はオーストラリア東海岸の地図を作り、ボタニー・ベイに立ち寄り、イギリスの領有を宣言した。ボタニー・ベイは後に犯罪者植民地と呼ばれた地。このことはヨーロッパの白人たちがオーストラリアを植民地化することにつながり、オーストラリアの歴史は大きく変えられた。
帰路の途中、クックは思いがけずグレートバリアリーフを発見する。暗闇の中、水深の深い海を航行中と思っていたところ、突然エンデバー号はサンゴ礁に衝突し船体をひどく破損。彼らが発見したものすべてが太平洋の海底に消えてしまおうとする中、なんとか浸水を防ぐためにサンゴ礁の上に船を再び浮かび上がらせ、船体の穴を修理する方法を考える。何度も危険と直面しながら、ようやく応急的な修理を施し、なんとか岸へ戻っていく。
クックの卓越した航海術により、エンデバー号は巨大なサンゴ礁から抜け出すことに成功し、祖国への帰港も果たす。野菜摂取も考慮した食事管理を徹底させたおかげで、壊血病で命を落とす船員が1人も出なかった。それは当時の常識では到底考えられない偉業であった。