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野生のアムールトラを探せ! シベリアの森に生きる 後編
極寒の地、ロシアのシベリアに生息するアムールトラを追うシリーズの後編。アムールトラは、トラの仲間のなかでも最大の大きさを誇るが、密猟により激減している。現在の個体数は300頭ほどに落ち込み、研究者でさえ、野生の姿を見られるのは、まれだという。
そんなアムールトラの生態を調べ、絶滅の危機から救うため、ロシア、アメリカ、イギリスからなる国際調査チームが結成された。
彼らがぜひとも見つけ出したいと願うのは、子どもを産むことができる若いメスだ。調査チームは2班に分かれ、シベリアの2つの自然保護区でメスのトラがいないか、捜索に乗り出す。
しかし、シベリアの厳しい環境と、さまざまな野生動物が身を潜める危険な森が、彼らの行く手に立ちはだかる。果たして調査チームは、アムールトラの未来を担う若いメスを発見することができるのか? 過酷な大自然に生きる彼らの知られざる姿に迫る。
シベリアのウスリースク自然保護区の外で、密猟により母親を失った3頭のアムールトラの子どもが保護された。3頭目の子どもは、猛吹雪の中、1週間以上も何も食べていない状態だったので、衰弱が激しい。近くに医療施設がないため、村の民家を借り、必死の救護が行われる。
一方、保護区内の調査チームは、メスのアムールトラの捜索を続けていた。今のところ保護区では、メスはサーガと名付けられた高齢の1頭しか見つかっていない。もしほかにメスがいないとなれば、保護区のトラは絶滅してしまう。
しかし調査チームは、ひとすじの希望の光を見いだしていた。森に設置したカメラから、サーガに娘がいることがわかったのだ。心配なのは、その娘がしばらく姿を現していないこと。調査チームの滞在期間は残り3週間。娘の捜索が急がれる。
嬉しい知らせはもうひとつあった。ウスリースクの北にあるシホテアリン自然保護区で確認された唯一の若いメス、バーバラに子どもが産まれたようなのだ。調査チームは2班に分かれ、彼女の子どもが無事育っているかを探ることにする。バーバラには発信器の首輪が付けられていた。その情報を頼りに追跡を続けると、彼女がしとめた獲物を発見。さらに3頭の子どもの元気そうな足跡が見つかる。獲物の近くに設置したカメラには、バーバラの姿も収められていた。
一方、ウスリースク自然保護区では、保護された3頭目の子どもが無事に回復をみせていた。うまくいけば3頭とも、1年のうちに森に戻ることができるだろう。
そして調査期間の最終日、ついにサーガの娘が生きていることも確認される。こうして、プリンセスと名付けられたその娘に、ウスリースクに生きるアムールトラの未来が託されたのだった。