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ストーリー

人間を超えた!? 賢い動物たち 後編

動物の知能に関する研究は、生物学において最も注目されている分野の1つ。近年、研究者たちの独創的な実験により、ヒトに次いで高い知能を持つとされるチンパンジーやオランウータンはもちろんのこと、無脊椎動物のタコにいたるまで、さまざまな動物の驚くべき能力が明らかになってきた。
後編では動物たちのコミュニケーション能力に注目する。動物は危険回避のため、あるいはテリトリーを守るため、そして子どもに生きる術を教えるために、鳴き声やボディーランゲージを使ってコミュニケ―ションをとる。人間との関わりの中では、人間の言葉を理解し、時には「会話」に近いこともできるようになる。また他者への愛情や共感、協力、自己認識など高度な社会性を伴うコミュニケーション能力を持つ動物もいる。実験・観察を通して、驚くべき行動をするさまざまな動物の生態をわかりやすく解説。人間と動物の能力にそれほど差はなく、動物たちの能力には未知の領域があることがわかる。

まず音によるコミュニケーション能力について検証する。シープドッグは犬笛や口笛の微妙な音の違いを判別して行動する。心理学者のジョン・ピリー教授は、どれだけの単語の音を理解できるか実験し、イヌに千以上の単語を覚えさせたという。またプレーリードッグは、コミュニティーの仲間に危険を知らせるために、敵の種類によって警告する声を変えるそうだ。ウマは声だけでなく、ボディーランゲージでもコミュニケーションをとる。このボディーランゲージを研究し、野生馬の調教に応用するネバダ州のカウボーイ、モンティー・ロバーツを紹介。
他の動物の立場になって考える動物もいる。ベルベットモンキーは人間の視界に入らない場所を推察して餌をあさり、アメリカカケスは仲間をあざむいて誰にも見つからないところに餌を備蓄する習性がある。さらに、集団で暮らすためのコミュニケーションの一例として、ノドジロオマキザルの奇妙な生態を紹介。縄張り意識が強い彼らは、同じ群れの中で絆を確かめ合うため、痛みを伴う儀式を行うという。また、「協力」ができる動物もいる。ゾウは、本能からではなく目的のために協力し物事を成し遂げる。ミーアキャットは、コロニー内で子どもを協力して育て、捕食の仕方も親だけでなく大人たちが全体で教える。
続いて動物の感情についても解明。コクジラは「愛情」「共感」など感情をつかさどる紡錘(ぼうすい)細胞が、なんと人間の3倍! 人間と接することに一種の楽しみを見出しているのではないかと考えられている。知能が高いカラスは、恐怖体験から得た危険情報を仲間と共有、その情報を感情と関連づけて記憶している。感情には「楽しい」「怖い」だけではなく、より高度なアイデンティティの認識もある。ゾウは鏡に映った自分の姿を"他の生物"ではなく、"自分"として理解できるそうだ。 
最後に登場するのは人間に最も近いとされる動物、ボノボのパンバニーシャ。人間と同じように育てられ、絵文字を使って自分の感情や行動予定まで伝えることができる。人間の社会のルールにも対応できるといい、その高度な社会性に驚かされる。