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神秘の太陽系 Episode2 土星の環
物理学者ブライアン・コックス教授が、太陽系の様々な謎に迫る全5回シリーズ。太陽系はどのようにして生まれたのか?太陽系に存在する惑星や衛星では、今何が起きているのか?ブライアンが世界各地を訪れ、地球と他の惑星を比較しながら太陽系の神秘を解き明かす。
第2夜では、土星を取り上げる。最近の研究により、現在、土星で起きていることが、誕生したばかりの太陽系で起きたこととよく似ていることが判明した。ブライアンは、土星の輪の仕組みを解明すれば、太陽系の起源がわかると語る。
ブライアン・コックス教授が最初に訪れたのは、チュニジアのカイルアン。彼は、地球の軸(地軸)が傾いていることを説明。そして、地軸が傾いているからこそ、南半球と北半球が交互に太陽の熱を受け、夏と冬が存在するのだと語る。つまり地球に季節があるのは、地軸が傾いているおかげなのである。
次に、多くの竜巻が発生する場所として知られるアメリカ・オクラホマを訪ね、竜巻追跡者のドン・ジュリアー二に話を聞いた。竜巻はなぜ起きるだろう。竜巻は、上昇気流を伴った高速の渦巻きで、巨大な雲に暖かい空気が入り込み、すさまじい速さで回転している。ブライアンは、竜巻を発生させるこの渦を巻く力こそ、太陽系を形づくった原理と同じであると言及する。そして、太陽系がつくられた過程を知ることができる場所は土星であると話す。
最近の研究で、現在、土星で起きていることが、誕生したばかりの太陽系で起きたこととよく似ていることが判明したのだ。そこでブライアンは、カリフォルニアにあるNASAジェット推進研究所を訪れた。ここは、土星の軌道に乗っている唯一の探査機カッシーニのコントロールセンターである。1997年に打上げられたカッシーニは、2004年から土星の映像を送ってきている。ここで土星について研究しているカール・マリーに話を聞いた。
続いてアイスランドへと向かった。実は、土星の輪はアイスランドの氷山と同じように、氷でできている。何十億もの氷のかけらが太陽の光を受けて輝くのを見たブライアンは、こう語る。「土星の輪のながめも、この光景と同じはずだ」と。さらに、近年、急速に科学者たちの注目を集めている土星の衛星であるエンケラドゥスについても説明した。2005年11月、土星探査機カッシーニが撮影した写真から、驚くべきことが分かったのだ。エンケラドゥスの表面から、火山の噴火や間欠泉のように氷が噴出していたのである。それは、エンケラドゥスの地下で熱が発生している証拠だ。
最後にブライアンは、土星の衛星同士の重力が働いて起きる「軌道共鳴」という現象が、何十億年も前に太陽系の惑星同士の間でも発生し、すべての惑星の軌道を乱したと語る。太陽系は混乱に陥り、無数の彗星が飛び交って惑星を攻撃した。しかし、このとき地球に落ちた彗星が、水や様々な生命をもたらした。つまり何十億年も前に軌道共鳴が起きなければ、地球に生命は誕生しなかった。はじめはその美しさから研究が始められた土星の輪が、太陽系の謎を解明するカギになったのだ。