BBC地球伝説

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ストーリー

神秘の太陽系 Episode3 大気の秘密

物理学者ブライアン・コックス教授が、太陽系の様々な謎に迫る全5回シリーズ。太陽系はどのようにして生まれたのか?太陽系に存在する惑星や衛星では、今何が起きているのか?ブライアンが世界各地を訪れ、地球と他の惑星を比較しながら太陽系の神秘を解き明かす。
第3夜は大気。その役割や、大気を保つために必要な要素について解析。さらに、太陽系の他の惑星には、どのような大気があるのかを紹介する。

ブライアン・コックス教授は、南アフリカのケープタウンを訪ねた。その目的は、超高速戦闘機イングリッシュ・エレクトリック・ライトニングに乗り、高度18キロの高さから地球の大気を見るためである。太陽の熱から地球を守っている大気を実際に見たブライアンは、大気中に含まれる酸素と水が地球上のあらゆる生物が生きていくために欠かせない重要な役割を担っていることを体感する。
次に訪れたアフリカのナミブ砂漠では、各惑星の特徴について語った。水星は、太陽系の惑星の中で最も小さく、重力も弱い。重力は、惑星が大気を保持するための最も重要な要素。重力があるからこそ、大気は宇宙空間へ逃げることなく、とどまっているのである。そのため、重力が弱い水星には、大気がほとんど存在しない。
2008年11月、カナダ・サスカチュワン州に隕石が落下した。約10トンの重さの隕石。それぐらいの隕石は、時折、地球に落下するが、地球には大気があるため、隕石の衝撃をやわらげることができる。しかし、大気のない水星は、このような隕石の衝撃をまともに受けてしまう。その結果、水星の表面には、無数のクレーターができている。
金星は地球と大きさがほぼ同じ。重力も地球と同じぐらいである。しかし、地球よりも太陽に近いため温度が非常に高く、その大気は地球の大気とは全く異なる。金星は、膨大な量の二酸化炭素に覆われているのだ。その二酸化炭素が温室効果を生みだし、金星の温度をさらに上昇させている。 2009年8月、NASAの火星探査機オポチュニティが撮影した映像に、火星探査史上最大の隕石が写っていた。これは不思議なことである。なぜなら、現在、火星には薄い大気しか存在せず、隕石が落下する際、スピードが落ちることはないからだ。つまり、隕石は地表にぶつかった衝撃で粉々になるはずなのである。今回のような大きい隕石が見つかったということは、かつて火星が厚い大気に覆われていたからだとブライアンは推測する。
木星は、何千キロもの厚みの大気を持ち、表面では常に嵐が生じている。中でも「大赤班」と呼ばれる嵐は、太陽系最大の嵐だ。ブライアンは、木星で嵐が発生する原理は、地球で嵐が起きる原理と同じだと話す。